委 員 井 上 ひさ子 委 員 伊 藤 理智子
委 員 石 川 佐和子 委 員 堀 川 素 人
委 員 木 村 彰 男
――
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開 議 午後1時
○桑原透 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
福田委員からは欠席する旨、また、
松浦委員からは
堀川委員と交代する旨、それぞれ届け出がありました。
それでは、議事に入ります。
最初に、議案第10号 平成27年度札幌市
病院事業会計予算について質疑を行います。
◆
伊藤理智子 委員 私からは、
市立札幌病院看護職員の
労働条件の改善について質問いたします。
昨年の
決算特別委員会で、この質問をさせていただきました。
市立札幌病院の
看護職員の
労働実態は、全国の
看護職員の
労働実態と比較しても、夜勤の回数が突出している、夜勤中の休憩がとれないなどの問題があり、苛酷な
労働実態の中で、一昨年、定数を2人増員したものの、退職者が92人にもなり、さらに現場の
労働実態が苛酷になっていることを指摘し、
看護職員の増員を含めた
労働条件の改善を図るよう求めました。
まず、
看護職員の定数と
平均残業時間、
夜勤回数と
年次休暇がその後どう改善されたのか、伺います。
◎木内
経営管理部長 看護職員の現状についてお答えいたします。
まず、定数でありますが、現在、
看護職員の定数は701名となっております。次年度である平成27年度につきましては、12名増員いたしまして713名とする予定でございます。
次に、時間外勤務時間は、今年度4月から1月までの実績ですが、月平均で17.1時間となっております。平成25年度の月平均が16.1時間でございますので、1時間延びている状況になっております。
次に、
夜勤回数は、今年度4月から1月までの実績ですが、月15回夜勤に入った職員が延べで2人、14回が13人、13回が291人となっております。
次に、
年休取得日数ですが、こちらも1月までの実績で
平均取得日数は5.0日となっておりまして、平成25年度の実績は8.4日となっておりますので、短くなっている状況でございます。
◆
伊藤理智子 委員 今、定数が701人で、来年は12人ふえるというお話ですが、
平均残業時間は去年よりも1時間ふえたこと、
夜勤回数も相変わらず15回されている方、14回されている方、13回も291人と、これはまだ改善されている数字ではないと思います。また、
年次休暇は去年の8.4日から5日になっていて、なかなか
労働実態が改善されているとは言えない実態なのかなと思います。
こういう状況について、病院局としてどのように分析されているのか、また、今後の対策についても伺います。
◎木内
経営管理部長 勤務環境が余り改善されていないのではないか、その原因というお話でございます。
私どもは、こういう状況に至っている原因として大きく2点あると考えております。1点目といたしましては、当院では、
総合医療情報システムという
電子カルテを中心とした多くの
部門システムを擁する大きな
情報システムですが、1月1日付でこちらを全面的に更新しております。このために、事前の設計段階での検討会議、あるいは操作の研修、事後にいろいろな
ふぐあいが出た場合の調整会議などでこの部分の業務量がふえているというふうに考えております。また、もう1点としましては、平成25年度に
看護職員の退職が非常にふえ、この影響で、26年度の
新規採用看護職員の数が大きくふえました。そのため、
新規採用看護職員の育成段階におきましては、既存の職員が指導したり補助したりすることになりまして、この部分で
既存看護職員の業務負担が大きくふえた、この2点が大きいというふうに考えております。
そこで、
総合医療情報システムでございますが、1月1日に更新いたしまして、現在も
ふぐあいは出ておりますけれども、順次、修繕しながら進めているところで、徐々に安定稼働に進んできております。また、新
採用職員の数ですが、今年度は比較的平年並みとなっておりますので、来年度に採用する職員は前年度より少ない数で済む状況になっております。そういった意味でも、例年の水準の業務量になるのではないかと考えております。
また、
夜勤回数ですが、先ほど申し上げた回数は4月から1月までの集計ですけれども、
年度上半期は
新規採用看護職員は夜勤に入れないので、夜勤に入れる看護師が固定されてしまう状況で回数がふえるということがありました。しかし、昨年の9月、10月からは、順次、
新規採用看護師も夜勤に入ってきておりまして、その結果、10月からは改善されるだろうと考えておりましたところ、10月以降の集計を見てみますと、実際に夜勤に15回入っていた職員はいなくて、14回が2名という状況ですので、全体としては改善されている状況にあると考えております。
◆
伊藤理智子 委員 2013年度の退職者が92人いたこともあって大変になったこともあるのかなというふうに思いますけれども、せっかく人員を増員しても、離職する
看護職員を減らしていかなければ
労働条件の改善も進んでいかないと思います。
日本医療労働組合連合会が行った2013年度の
看護職員の
労働実態調査の詳しい報告がまとまりました。全国の約3万2,000人の方に調査の協力を依頼して回答していただいていますが、苛酷な労働で仕事をやめたいと思うことがあった人は、回答者の中で75.2%にもなっているという報告で、寄せられている声を見て本当に大変なのだなというふうに思いました。病棟が忙し過ぎて、疲れもとれず、仕事に来るのが憂鬱、常にやめたいと思う日々が続いている、魅力ある仕事にしないと人員増加なんて無理、自己犠牲の上に成り立っている職業としか思えない、慢性疲労、休みがとれず働く環境としてはひどいと思う、人手が少ないのにやらなければならないことが多過ぎる、看護の質を上げるどころか、量の確保に四苦八苦している状態、これでは本来の看護の喜びを感じるどころではないなどと、どれも深刻です。
これは全国の
看護職員の
労働実態調査に寄せられた切実な声ですが、
市立札幌病院の
看護職員の仕事の実態でも同じような状況になっているのではないかなと思われます。
人員不足の解消が何よりの方策だと考えますが、せっかく人員を拡充しても、2014年度は離職者が60人にもなったと聞いていますから、現場の
労働環境は、改善されるどころか、引き続き苛酷になってしまいます。
同時に、離職者を減らすための対策を具体的に検討することが求められると考えますがいかがか、伺います。
◎木内
経営管理部長 私どもも、なるべく離職者を減らすというのは大変重要なことだと考えております。
看護職員の離職率というのは、
日本看護協会の全国の調査でもやはり平均でも10%を超えるという状況で、非常に流動性の高い職種だと言えると思います。しかし、病院としては絶対に必要な職種でございますし、それも、採用し、養成した看護師が離職していくというのは、病院の経営上でも非常に痛手になるところでございます。
そこで、離職をなるべく減らすためにということで、私どもは、これまでも看護師の
勤務環境の改善に努めてきたところでございます。その中で、定数の増員もそうですし、手当の増額もそうですが、実態の勤務の中で看護師が看護師としての仕事にもっと務められるようにということで、
看護補助員を増員し、今年度からは看護
事務補助員を新設して配置したり、平成27年度からは
夜間看護補助員も配置しようと考えております。また、第3回定例会でもちょっとお話をさせていただきましたが、今、特に
病棟看護師の負担になっております入退院にかかわる事務を集約し、
仮称総合サービスセンターというものを立ち上げることを計画しておりまして、それによって
病棟看護師の負担の軽減も図っていくというように、総合的にさまざまな対策をとることによりまして看護師の離職を防止していきたいというふうに考えております。
◆
伊藤理智子 委員 全国の
労働実態調査では、仕事をやめたいという人たちの問題について、
人員不足によって長時間労働になり、悩みやストレスを抱えることで仕事をやめたいというふうになっていくのではないかと分析しております。長時間労働の実態を示す結果として、準
夜勤勤務の休憩時間が余りとれていないという方が40.7%、全くとれていないが7%、
有給休暇の取得5日以内が33.7%、10日以内が70.2%、勤務が終わって次の勤務につくまでの一番短い
勤務間隔は4時間未満が6.5%、
夜勤勤務時間は16時間以上が13%という結果が出ていることについて、研究者は早急に改善が必要だとしています。
市立札幌病院の
看護職員については、夜勤の休憩時間がとれていない問題や、
有給休暇も、全国では10日以内が多くなっていますが、
市立札幌病院では
有給休暇の
平均取得日数が5日と、今まで以上に
有給休暇を取得できていない実態があります。勤務が終わって次の勤務につくまでの一番短い
勤務間隔や、
夜勤勤務時間が長時間になっていないかなど、
市立札幌病院の
看護職員の
労働条件を改善するためにも、実態を調査して具体的に把握し、対策をとるべきと考えますがいかがか、伺います。
◎木内
経営管理部長 私どもは、これまでもさまざまな改善を図ってきましたが、その前提としては、看護部を初めとして、現場の状況を把握した上で何が必要かというところを改善してきております。しかし、委員がご指摘のように、実際に職員の声を聞くことも大変重要なことだと考えております。
そこで、私どもは、現在策定中である平成27年度からの新しい
ステージアッププランにおきまして、看護師だけではなく、全職員を対象に職員の
満足度調査を実施することとしております。その結果を踏まえて、改善できるところは改善していくという努力を続けていきたいと考えております。
◆
伊藤理智子 委員 苛酷な
労働実態の中で、もう一つ、全国的には健康不調になる
看護職員の問題も深刻になっています。
看護職員の
妊娠経験者の約3割が夜勤、当直の免除を受けずに、切迫流産は約3割、一般の
女性労働者の平均の2倍近くにもなっております。
看護職員が妊娠したときの
勤務実態は、夜勤が免除されているのか、時間外勤務が免除されているのか、時差通勤や
つわり休暇、通院休暇、軽度な仕事への配置転換など、
市立札幌病院の
看護職員の妊娠時に母体を保護する
勤務環境が制度として確保されているのか、お伺いします。
◎木内
経営管理部長 職員が出産前後に活用できる制度についてでございます。
病院局におきましても、市長部局に準じて同じ制度を整備して運用しているところであります。具体的には、産前産後休暇や育児休業はもちろんのこと、
通勤緩和措置や重症なつわりなどの妊娠障がいに係る
特別休暇、時間外勤務や深夜勤務の免除等の制度のほか、部分休業、育児短時間勤務などがございます。また、業務内容につきましても、妊産婦に適さない業務については各職場で所属長が必要に応じて配慮を行っているところでございます。
◆
伊藤理智子 委員
市立病院ではないと思いますけれども、制度を充実させてきちんと保障していると言っても、
夜勤免除の制度がありながら
人員不足のために
夜勤免除を請求しづらい、申し出ても夜勤を行うことを求められる、そういうようなところとか、妊娠した職員を気遣える、また、妊婦を支える
看護職員にも負担が重くのしかからないように
職場環境を改善していく努力が非常に重要だというふうに考えます。医療の高度化、入院日数の短縮、患者の高齢化などで職場の実態はさらに厳しくなっています。
看護職員が健康で元気に働き続けるためには、長時間労働や夜勤の体制を改善することが求められます。
全国の
看護職員の中には、
過労死ラインの月60時間以上の残業をしていると回答された方が250人もいるという調査結果が出ています。苛酷な
労働実態で実際には調査に協力することができない人もまだたくさんいるというふうに想定しますと、
過労死ラインで働いていらっしゃる方はさらに多くなるのではないかというふうにも考えられます。そういう実態の中でも、
看護職員の仕事に
やりがいを感じていると答えた人は71.7%です。ここに希望を感じますが、
看護職員の責任感に頼らない人間らしい
労働条件にするために、現場の深刻な実態を具体的に把握して改善していくことが喫緊の課題です。
病気と闘う患者にとって、
看護職員の存在はかけがえのないものです。命と向き合うとうとい仕事に誇りを持って働き続けられる
労働環境に改善していくことに今後も力を尽くしていただくことを強く求めて、私の質問を終わります。
◆
村上ゆうこ 委員 私からも、
看護職員の
労働条件改善等についての質問を何点かいたします。
我が会派では、これまで一貫して看護師の
労働環境改善に向けて取り組んでまいりました。改めて言うことでもありませんが、どんなにすぐれたお医者さんや検査体制を整備したとしても、患者にとって最も身近な存在であり、親身になって接してくれる看護師の体制が不十分であっては、決して質の高い医療を提供することはできません。
さきの
経済委員会におきまして、病院局から、新
ステージアッププランの案が示されておりますが、その四つのビジョンを実現するための
基本的考え方の中に、病院で働く職員にとって
やりがいがあり、働きやすい
職場づくりに努めるという記述があります。しかしながら、先ほどもありましたが、2013年度の状況を見ますと、看護師の1割を大きく上回る92名もの退職者が発生しており、
市立病院の
看護体制は大丈夫なのかと大変心配していたところです。
そこで、質問ですが、今年度の
退職者数の見込みは、例年と比較してどのような状況となっているのか、また、
退職理由についてはどのように分析をされているのか、お伺いいたします。(「関連」と呼ぶ者あり)
◆宮村素子 委員(関連) 私は、今、
市立病院の
看護職員の大変さについてお2人の委員の話を聞くと、何という病院なのだろうと。私は、今、
札幌市内の
公的病院の中で、
看護職員がこんな劣悪な状態で働いているなんて信じられない。この問題は、今までずっと取り上げられてきていますけれども、抜本的な改革というのが一度もない。
今回、
ステージアッププランの中で、
満足度調査、職員の
やりがいということを言っておりますけれども、今、こんな状態で
看護職員が
やりがいなんか持てない状態でいる。そういう中で、
看護体制をしっかり考えなければならないけれども、まず、私がきょう確認したいことは、798の病床数に570人で稼働率はおおよそ70%ですよ。これを100%に近い稼働率に上げることが病院の収支にとって絶対の必要条件です。それなのにずっとこういう状態で甘んじてきています。病診連携だとかいろいろやっていますけれども、一向に上がらない。ですから、今、病院の798床を一気に500床にして今の
看護職員の体制でいくと、もう少し働きがいがある病院になるのではないですか。また、医師を含めたほかの職員の
勤務体制にもプラスになるのではないですか。そして、ここの病院でなければならないという患者が
市立病院に送られていく、そういった
市立病院でなければならないはずです。
そういったことから、
看護職員の
労働条件の改善のためにベッド数を減らしてしっかりと体制を整える、ベッド数対
看護職員の数をもうちょっときちんと計算してやるべきだと思います。
これについては、私は選挙が終わってからしっかりやりたいと思いますが、今のことに関して答弁をお願いします。
◎木内
経営管理部長 まず、今年度の退職者の見込みは先ほど60名と申し上げました。前年度は非常に多い数字でしたが、その前の平成24年度と比較しますと、大体、
例年並みの
退職者数と言える数字になっております。
次に、
退職理由の分析でございますが、これまでと同様に、転職や夫の転勤、結婚などの家庭の事情によるものが中心となってきておりますけれども、傾向といたしましては、従前よりも結婚や育児、
体調不良等による
退職者数が減少しております。そのことから、子育て中の職員に対するサポートの強化や
メンタルヘルス対策などの
取り組みの効果があらわれてきているものと考えております。しかし一方では、転職を理由とする
退職者数が最も多いことから、引き続き、
勤務環境の改善などに努めていかなければならないと考えております。
それから、
病床利用率に関するご質問でございますが、現在、798床で利用率が70%余りという状況では、確かにベッドが過剰ではないかというご指摘をいただかざるを得ないというふうに考えております。そこで、私どもも、今後、未来永劫798床を維持するとは考えておりません。平成27年度におきましても、
小児科病棟の個室化などを図りまして、
活用方法を確認次第、ベッドを減らして有効に活用していく考えでおります。今後につきましても、皆様もご存じのとおり、
市立病院は非常に狭隘化していることもございますし、そういう観点を改善していくためにも、有効な
活用方法を模索しながら必要に応じてベッドの数を減らしていくという考えで進めてまいりたいと思っております。
◆
村上ゆうこ 委員
退職者数が
例年並みに戻るということですけれども、単純に一安心とは言えないのではないかと思っております。少子化等により
看護師不足はますます深刻な社会問題となっている状況を考えますと、
退職者数が
例年並みに戻るということだけで安心することはできません。看護師が働き続けられる
環境づくりに向けた対策は、最終的に
退職者数の減少という形になってあらわれてこそ、成果があったと言えると思います。そこまでに至っていないということは、まだまだ深刻な状況だというふうに考えます。
我が会派は、これまで、必要な看護師をしっかり配置できるよう、また、
労働環境改善の面からも定数増の必要性を指摘してきております。先日示された札幌市の来年度の定数について、先ほども回答がございましたが、12名ふやすということで、これはどのように配置する予定でしょうか。
また、
例年並みの退職者の補充に加え、今後は増員分も採用しなくてはなりませんが、現在の看護師の
採用状況はどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。
◎木内
経営管理部長 平成27年度の
増員看護師の配置先、それから現在の
採用状況についてお答えいたします。
増員する12名の配置先につきましては、入院患者に係る
看護体制の強化と
労働環境の改善を図るために病棟に7名を配置いたします。残る5名は、手術体制を充実させて手術を要する患者の受け入れをふやすために手術室に配置することとしております。
次に、看護師の
採用状況につきましては、今年度は、4回の
採用試験を実施いたしまして合わせて77名の採用が決定しております。これによりまして、当面の
業務執行体制は確保できるものと考えているところでありますが、引き続き、即戦力となる経験者の採用を含め、優秀な人材の確保に努めてまいりたいと考えております。
◆
村上ゆうこ 委員 病棟に7人、手術室に5人ということですね。今回、看護師の定数がふえたことで、より一層の
労働環境の改善が図られるのではないかと期待しております。採用の苦労はあると思いますけれども、貴重な定数の増員を得られたのですから、その効果がしっかりあらわれるように、優秀な人材の確保に向けてまたしっかり取り組んでいただきたいと思っております。
それと同時に、苦労をされて採用し、育てた看護師が
やりがいを持って長く勤められるようにするためには、さまざまな工夫が必要であると考えます。これまでの
取り組みとして、看護師が
看護業務に専念できるよう、
看護補助員の配置を進め、また、今年度からは、事務負担を軽減するための看護
事務補助員も導入したところであります。さらに、来年度は、看護
事務補助員の増員や
夜間看護補助員の新たな配置を行うことを先ほども聞きました。
そこで、質問ですが、こうした努力の積み重ねにより看護師の
周辺環境は改善されていくものと期待しております。しかし、看護師の働き方を含め、まだまだ
労働条件の改善が必要と考えますけれどもいかがか、お伺いいたします。
◎木内
経営管理部長 看護師の
労働条件の改善についてであります。
看護師の
労働環境の改善に向けまして、これまでさまざまな
取り組みを進めてまいりましたが、さらに、看護師の働き方そのものについて工夫ができないか、現在、検討しているところであります。その具体策の一つといたしまして、現在、入院病棟では日勤、準夜勤、深夜勤の三つの
勤務形態をローテーションする3交代制で24時間の
看護体制を構築しているところでありますが、日勤者が午後5時に退勤した後、午後9時ごろまでの時間帯は夕食に係る介助や薬の投与、血圧測定など忙しく、業務の困難性が高まる時間帯となっております。また、午後に入院する患者の対応があればこの時間帯の業務量がさらに増すことになります。このため、この時間帯の看護師の体制を強化するため、昼過ぎから勤務し、午後9時ごろまで働く
勤務形態を新たに設置いたしまして、この2月1日から1病棟で試行的に導入しております。これまでのところ、現場の看護師からもおおむね好評でありますが、もうしばらく試行を継続して検証してまいりたいと考えております。
◆
村上ゆうこ 委員 昼過ぎから夜の9時ぐらいまでの日勤体制ということを1病棟でやっているという答弁でしたが、私としては、びっくりいたしまして、こういうやり方もあるのかと思いながら、今後、期待したいと思っております。
我が会派としましては、これからも、看護師の定数増や新たな
夜間看護補助員の導入など、今回講じられた対策により着実に成果があらわれることを期待しています。しかし、今後とも急速に進展する
少子高齢化を踏まえると、新
ステージアッププラン(案)に掲げられたビジョンを実現していくためには、さらなる努力と具体策が必要であると考えます。
市立札幌病院は、これからも質の高い医療を提供する公立病院として、今後も多くの市民から期待されていくと思います。看護師はもちろんのこと、全職員がそのことを誇りとして、満足感と
やりがいを持って長く勤められるように、引き続き
労働条件の改善を含めた最大限の
取り組みを求めまして、私からの質問を終わります。
◆木村彰男 委員 私は、1点、新旧の
ステージアッププランについてお聞きします。
旧プランは、3年目のことしで終わりということで、その終了しようとする段階で、過日、新
ステージアッププランが提出されました。私は、2月20日の
経済委員会でもちょっとお聞きしておりますが、別な視点から平成27年度から始まる新
ステージアッププランについてお聞きしていきたいと思います。
関病院局長は、この
ステージアッププランの巻頭言というのですか、「はじめに」というところで、「今後も、当院が地域において担うべき医療をより多くの患者さんに提供できるよう、病院に勤務する全ての職員が一丸となって努力してまいります」という決意表明を述べていらっしゃいますね。これに対して、平成24年に出されている旧
ステージアッププランにも前の富樫病院局長が同じように巻頭言を書かれておりますが、富樫病院局長の巻頭言にあって関病院局長の巻頭言にないお言葉があります。それはどういうことかというと、「
市立札幌病院の健全な経営に努めていく」という一言なのです。よろしいですか。3年前の決意表明の中にあった「健全な経営」、これが今回は欠落しております。健全経営はこの3年間でなし遂げられたのでしょうか、関病院局長、お聞かせください。
◎木内
経営管理部長 この3年間で健全経営ができたかというご質問でございますが、平成24年度、25年度につきましては経常黒字を計上しております。26年度については、まだ見込みでございまして、はっきりは申し上げられませんが、ちょっと苦しい状況にございます。その前段の診療報酬改定の影響もあると思いますが、そういう制度改正に合わせて
ステージアッププランでさまざまな
取り組みを行ってきたことも経営の改善には大きくつながっていたものと考えております。
◆木村彰男 委員 そのような部長のお言葉を関病院局長はどのように聞いていらっしゃいますか、お聞かせください。
◎関 病院事業管理者 ご質問、ありがとうございます。
私は、新
ステージアッププランの巻頭言に、もちろん市民向けへの公表もありますし、それからもう一つ、私がずっと考えていたのは、病院の中で働いている職員に対して、これから私と一緒に頑張ってもらいたいという気持ちを込めて巻頭言としてまとめ上げたものです。
委員がご指摘のように、経営健全化という文言は私の巻頭言の中にはなかったかもしれませんけれども、新
ステージアッププランの中の目指すべきビジョンとしては、中にしっかりと入れておりますので、その点はご理解いただきたいと思います。ありがとうございます。
◆木村彰男 委員 私もちゃんと読んでいますから、盛り込まれていることはわかった上でお聞きしております。つまり、私は、その危機の意識、今そこにある危機ということで経営の改善を急がなければならなかったところから、ささやかにではあるけれども、少し楽になっているというような思惑がそこに見えたのです。だから、その3年間の苦しみを少し乗り越えて、ある程度の展望が見えてきているのかなという前提でのお話だと思うのです。
これは、
市立病院に限りませんけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、病院経営の困難さというのは民間でも皆同じなのですね。私も病院の関係者と意見交換をしていますが、いかにコスト管理をしっかりするかということがやはり大事でありまして、無駄なものは極力なくしていくと。民間の方は、
市立病院ではお支払いになっていないような固定資産税であるとか法人におけるさまざまな税金も、みんなお支払いになって、その上で病院の経営をやっていらっしゃいます。その意味においては、数年に1度行われる診療報酬の改定などに確実にベクトルを合わせるというのか、そういう構えの中で、いかに国の指針にたがうことなくと。真逆のことをしていたらだめですから、そういう国の指針に沿った形での事業を行うことによって収入を確保していくことかと思います。だから、それは、
市立病院でも全く同じベクトルで動いていくことになると思うのです。
これは、部長からもいろいろお話を聞いておりまして、病院の中で今言った収入の一番大きなものは、この
ステージアッププランにも出ていますが、やっぱり新入院患者の数をふやしていくということですね。これは旧
ステージアッププランにも出ていますし、新のほうにも出ていて、これが大きな一つの固まりとして収入アップにつながっていきます。
もう一つ、新しい
ステージアッププランに新しく出てきているのが実は手術数なのです。手術の数、オペレーションの数、これを増大していくのだという構えです。現状を見ますと、数値もいただいておりますが、ことしの見込みは6,700件となっておりまして、これを4年間で500件ふやして7,200件ぐらいにしていこうという構えがここに書いてあります。これは今まで取り上げてこなかった。この手術数について、一番重要だと言っている割には、拱手傍観していたとは言いませんが、今までの3年間はなくて、今回、新規にぽっと出てきたことについてお聞かせください。
◎木内
経営管理部長 手術件数の目標設定についてでありますが、ご指摘のとおり、当院の診療収益の中では入院料と手術料の収益が2本柱となっておりますけれども、手術料につきましては、近年、1件当たり平均50万円を超えておりまして、その総額は診療収益の約20%を占めておりますことから、病院経営上、大変重要な要素であると考えております。
そこで、手術件数についてでありますが、現在の桑園に移転いたしました平成7年度以降、年々増加してきまして、19年度以降、24年度までは年間約7,000件前後で推移してきたところでございます。しかしながら、平成25年度は6,716件、26年度の見込みは約6,700件と、近年は減少傾向が見られるようになってきております。これは、時間を要する全身麻酔や内視鏡下の手術件数が増加傾向にあるためと考えられますが、一方で、診療科によっては手術待ちの患者がいる状況にもあります。したがいまして、新
ステージアッププランにおきましては、手術実施体制を充実させ、手術件数の増加を図っていくことが患者にとっても病院経営上も重要であると考え、数値目標として新たに設定したものであります。
◆木村彰男 委員 手術数をふやすというのは、当たり前の話ですが、お医者さんというか、まずドクターが必要ですね。それから、全身麻酔という観点から麻酔医が必要になってきます。
さらに、今、41名いらっしゃる手術専門の看護師を5人ふやして、46人にするというのですが、先ほどからも出ていますように、やめる看護師が非常に多いということは私も聞いております。そういう中で、普通の看護師というのは、大丈夫ですかとか、きょうは元気ですかと聞いたりして、患者といろいろな行き来があります。ところが、手術をする方は眠って入ってきて眠って出ていきますから、コミュニケーションというのは全然ないわけですよ。そういう看護師を今の41名からプラス5名で46名にする。この4年間、この5名増の体制だけで500名からの手術の数をふやそうとしていますが、できますか、お聞かせください。
◎木内
経営管理部長 手術専門の看護師を5名ふやして、どういう体制になるかということでございますが、ご指摘のとおり、手術室の看護師につきましては、一般の病棟の看護師とは異なる専門的な知識と一定の経験が必要となりますことから、未経験者を配置した場合にはその養成に相当の時間がかかると考えております。プラン上もそういう点も考慮した上で計画を立てておりますが、実際の人事配置に際しましては、経験者の人事異動も含めて適材適所の配置をしていきたいと考えております。
それから、手術件数がふえるのでしょうかというご質問でありますが、手術室の看護師につきましては、1件の手術につき、基本的には4名を配置しておりまして、現在、通常は同時並行で七つの手術室の定期手術と2室前後の臨時手術に対応しております。次年度において看護師5名を増員いたしますが、その効果といたしまして、現在の定期手術7室に、さらに1部屋ふやして定期手術8室に対応できる体制を構築いたしまして手術件数の増加を図っていこうと考えております。
◆木村彰男 委員 やってみないとわからないというか、これから始める話ですから、それを見ながら、本当に5名で足りるのか、古い方のスキルももちろんありますけれども、新しい人の育成もどんどんやっていただくということだと思います。
これは言っておりませんでしたが、先ほどの宮村委員からの質問で
病床利用率のことが出たので、言わせてくださいね。
病床利用率については、私は前の決算委員会でも何回も聞いておりますが、これはマジックがありました。
今、
病床利用率は7割強で目標を設定していますが、木内部長の話だと、未来永劫、そういうことはないと言っていました。ということは、減らしていく、もしくは再編していくということになりますね。実際にベッド数が減っていったとすれば、
病床利用率の目標数値は逆に上がります。単純な話ですが、またマジックを使おうとしているのかなと思って聞いていました。削ったらだめだとか、再編したらだめだという話ではなくて、僕の考えている数値目標と皆さん方の考えている数値目標は同じだと思うのですが、この間もちょっと話をしましたけれども、分母なり分子を時々入れかえていたら、やってもいないのに到達したみたいな話になるわけですよ。だから、病床数を例えば10あったのを5に減らした場合、その5というのはどういう形で
病床利用率に反映されるのかということを言わないといけない。小児科の部屋を個室にしたということになれば、例えば4人部屋だったのが1人部屋になれば、何か去年の
決算特別委員会と似たようなことで、実際とは違いますよみたいな話をしているのか、それとも、本当に減らそうとしていらっしゃるのか、これについてお聞かせください。
◎木内
経営管理部長 前回の第3回定例会でもお話があったかもしれませんが、病院の指数としてのベッド数の取り扱い方という部分で届け出病床と稼働病床がありまして、実際の届け出病床より実稼働している病床数は若干減ります。病院の中でも、利用率の算定に当たってはこの二つの数字を使っていたという実態がございます。
そこで、
ステージアッププランに掲げた数字についても一般的に非常に理解しにくいというご指摘をいただいておりましたので、私どもは、新
ステージアッププランではあくまでも病院全体の届け出病床数で利用率の算定を行うように考えております。
◆木村彰男 委員 ですから、減ずると、当然、利用率は上がるから、これは減らしましたよとか、年度ごとにクレジットしないとわからないのではないですか、それについてお答えくださいと言っているのですよ。
◎木内
経営管理部長 届け出病床数につきましては、条例の規定事項でございますので、条例改正をお願いする形になります。
◆木村彰男 委員 これから始めるという話なので、これ以上はお聞きしませんが、力強く実現に向けて執行していただくことを要望いたしまして、私の質問にかえさせていただきます。
○桑原透 委員長 以上で、
病院事業会計予算の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩します。
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休 憩 午後1時44分
再 開 午後1時46分
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○桑原透 委員長 委員会を再開いたします。
次に、議案第14号 平成27年度札幌市水道事業会計予算について質疑を行います。
◆石川佐和子 委員 私からは、水道局における環境への配慮に向けた
取り組みについて伺います。
環境負荷低減に向けた
取り組みと子どもたちの理解を深めるための対応について、まず、伺っていきます。
札幌市は、四季の違いが非常にはっきりとありまして、緑も豊かで恵まれた環境の中にあると思います。「日本人とユダヤ人」という本の中に、日本人は安全と水は無料で手に入ると思い込んでいるというくだりがありますが、水資源が豊富だったという証拠だと思います。しかし、昨今では、異常気象や自然災害など自然の警告ともとれる事象が多く、私たちが利用できる水資源は、地球規模でなされる水循環の結果、得られるものであるという認識を持つことが地球温暖化対策の観点からも重要だというふうに考えます。
また、世界に目を向けますと、発展途上国の農村部を中心に、いまだに衛生的な水を十分に確保できない地域もある中、国連では、2025年までに30億人の人々が清潔な水が手に入らない状況になると予測をしており、安全な飲料水を利用できない人口の割合を2015年までに1990年の半分にすることを提唱しております。日本においても、夏季などには渇水により首都圏などで給水制限が行われることもあり、水道事業者がふだんから節水を求める広報を行う例もあります。また、生活用水は、その約8割が家庭で使われていることから、市民が環境配慮の意識を深めていくことが重要だと思いますし、とりわけ、子どもたちに教育の一環としてわかりやすく伝えていく工夫も必要と考えるところです。
一方、水道局におきましては、現在策定中の札幌水道ビジョンによりますと、今後10年間の
取り組みの姿勢として、新たに「実感できる札幌水道」をキャッチフレーズに掲げ、実感の「じ」が次世代、「つ」はつながる、「かん」は環境の頭文字をあらわしており、さらなる環境負荷の低減に努めるというふうにされております。さらに、主要事業の一つとして、エネルギーの効率的な活用を掲げ、水力発電の導入、環境配慮の意識の向上なども挙げております。水資源は非常に貴重な公的な財産であり、したがって、その利用者である水道事業者は、環境施策を率先的に進め、地球環境の保全のために二酸化炭素排出量を削減するなど、環境負荷の低減に向けた
取り組みを積極的に進めるべきと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市は、水道事業において、環境負荷を低減するためにどのような
取り組みを行っており、また、今後どのように取り組んでいくおつもりか、伺います。
また、このような
取り組みにおいて、特に子どもたちの理解を深めるためにどのように対応していくのか、あわせて伺います。
◎三井 総務部長 水道局の環境負荷低減の
取り組みと、それらについて子どもたちの理解を深めるための対応についてのご質問でございます。
まず、1点目の環境負荷低減の
取り組みについてお答えいたします。
水道局におきましても、全庁的な
取り組みである環境マネジメントシステムの運用によりまして、エコオフィス、エコドライブを推進しているほか、例えば、電気自動車の活用や太陽光発電の導入、管路工事で発生したアスファルトやコンクリートのリサイクル、水道メーターや消火栓の再利用などを行っております。また、水道局特有の
取り組みとして、藻岩浄水場では、平成19年度から水の流れを利用した水力発電を続けており、平成24年度には水道局の全消費電力の約10%に当たる発電実績を有しております。また、平成31年度までに平岸配水池と白川浄水場にも水力発電を導入する予定であり、既存の藻岩浄水場分と合わせて平成24年度の水道局の全消費電力に対し、25%に当たるクリーン電力を得ることを計画しているところでございます。
なお、水道局の環境配慮の
取り組みにつきましては、毎年度、環境報告書として取りまとめて公表しており、今後も、自然の恵みである水資源を利用し、公営企業として事業を営む者の責務として、率先して環境配慮の
取り組みを進めていきたい、このように考えております。
次に、2点目の水道局の環境負荷低減の
取り組みについて、子どもたちの理解を深めるための対応についてお答えいたします。
本市水道事業の広報拠点として、藻岩浄水場の隣に水道記念館がございます。ここでは、豊平川上流域の水源の森から始まり、浄水場を経て各家庭へと水道水が届くまでの水の循環についての体験型展示などもありまして、子どもたちが楽しみながら水道や環境について学ぶことができる施設となっております。
水道局といたしましても、子どもたちの環境についての学びは大切であると認識しておりまして、今後も、水道記念館を活用した学習支援を行ってまいりますが、子どもたちが興味を持ち、より理解が深まるよう、イベント内容の充実や展示物の工夫を行ってまいりたい、このように考えております。加えまして、職員が直接、学校などへ出向いて、環境に優しい水道の
取り組みを紹介する出前講座を新たに行うことなど、環境や水の大切さについての学習機会の充実も図っていきたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 水道局は、その
取り組みとして環境負荷低減に向けても行っており、また、その重要性を子どもたちに伝える努力をされていることについて、一定の理解をするところであります。
今、答弁の中に水道記念館のお話がございましたが、来館者数の数字を確認させていただきますと、学習に訪れる小学校の数は、この5年間で大体半分の学校数にとどまっているというふうに見受けられます。学校と水道記念館の距離の問題や学校の事情もあるかなと想像しますけれども、体験型の学習というのは非常に重要なことでもありますので、さらなる活用が図られるように努力していただきたいと思います。また、今の答弁の中で子ども向けの出前講座にも取り組んでいくということでありますから、そうしたことを積極的に行って子どもたちの理解をさらに深める
取り組みをしていただきたいと思います。
続いて、市民への節水の働きかけについて質問いたします。
札幌では、国有林野や国立公園の中の水源地域に積もった雪が7月ころまで残り、豊平峡ダム、定山渓ダムに流れ込むことで、これまで渇水による給水制限を実施した例がないと伺っております。そういうことで、札幌においては生活の中で節水の必要性を感じる機会が少ないのではないかなというふうに感じております。また、トイレとかいろいろありますが、そうした水回りの機器の環境性能が年々向上しておりまして、今までどおりの使い方や暮らし方でいつの間にか節水ができてしまうことから、節水の意識づけが低いのではないかなと感じているところです。市民にとって、節電はかなり浸透してきているように思いますけれども、例えば水を節約することでどれぐらい二酸化炭素を節減できるかということを情報提供するなど、節水意識を啓発していくことも環境負荷を低減するための身近な
取り組みとして重要であると考えます。
市民ネットワークは、これまで、代表質問等を通し、水の使用量を抑える節水こまなどの提案を行い、自治体によってはその普及に取り組んでいるところもあるというふうに聞いております。節電に対してエコポイント等の
取り組みがあるように、節水に対してもインセンティブのある
取り組みを行うことも効果的ではないかというふうに考えるところです。
そこで、伺いますけれども、水資源を利用する水道局として、環境負荷を低減するための
取り組みの一つとして、節水について市民に対して積極的に働きかけていくべきと考えますがいかがか、伺います。
◎三井 総務部長 市民への節水の働きかけについてお答えいたしたいと思います。
水道局におきましては、渇水による深刻な水不足を経験したことがないこともあり、利用者に対して恒常的な節水を積極的に働きかけたことはございません。私どもといたしましては、今後も、豊かな自然からもたらされる恵まれた水資源に感謝するとともに、このような環境を守っていく気持ちを利用者の皆様と共有しながら、安全で良質な水をいつまでも安定してお届けできるよう努力してまいりたい、このように考えております。
◆石川佐和子 委員 要望になりますが、21世紀は水の世紀と言われておりますけれども、部長が今おっしゃるように、給水制限がなく、深刻な渇水がなかった中で、節水の
取り組みをしないと、子どもたちには地球規模の危機感がなかなか伝わっていかないのではないかなというふうに考えます。
札幌市の年平均の気温は、この100年間で2度ほど上昇しているそうです。札幌や日本各地で地球温暖化による気温の上昇が進み、それに伴う異常気象も起こっていると思います。地球環境を守るための
取り組みが重要であり、とりわけ、子どもたちが自分にできることを考え、実践していこうという態度を育てることも重要だと思います。この間、2度、大きな渇水を経験した福岡市は、節水型都市づくりを進める中で、節水推進条例を策定し、また、水俣市におきましては、子どもたちが、学校において、二酸化炭素を削減するために学校版環境ISOの
取り組みで年間の水道使用量を前年度より5%削減するなどの目標を設定するとか、そうした
取り組みも行っているというふうに聞いております。一度も給水制限をしたこともないぐらい水が豊富にあるということは、札幌市は本当に恵まれていると私も思いますけれども、環境負荷を低減するために市民ができる身近な
取り組みとして節水対策は有効であり、二酸化炭素削減など環境負荷の低減に効果があると思われますので、もっと積極的に市民に働きかけていくことを求めて、私の質問を終わります。
◆中村たけし 委員 私からは、水道事業の財政に関して、幾つか質問したいと思います。
水道局では、長期的な視点で持続可能な水道システムを構築していくことを目的にして、2015年度から10年間を計画期間とした札幌水道ビジョンの策定を進めてきました。この札幌水道ビジョンでは、前半の5年間の財政収支見通しが示されていますが、人口減少に伴って給水収益の減少が見込まれる、その一方で、事業費については経年化した施設の更新や災害対策事業などで増加が見込まれています。
このような見通しを踏まえまして、私は、昨年の3定の
決算特別委員会で、損益と資金、いわゆるフローとストックの二つの視点から財政収支を十分に検証していくことと、財政状況が厳しくなる中で財源を確保していくことの重要性について指摘しました。今後、建設改良事業を実施していく際には、将来世代に過大な負担を残さないよう、財源を借入金に依存することなく健全経営を維持していくことが必要だと思います。水道局における建設改良事業のメーンは施設整備事業でありますが、その財源の一部として企業債の借り入れを行っています。
現在、この企業債については、償還年限を延長する方向での調整が進められていると聞いています。総務省が策定した2015年度の地方債計画では、2015年度に発行する政府債について、施設の耐用年数等を踏まえ、償還年限を延長すると記載されています。これは、地方公営企業が施設等の建設改良時に発行した企業債の償還期限と法定耐用年数との間に差が生じていて、経営の安定化の視点からこの差を縮めることができるようにとの考えによるものです。具体的には、現在、水道事業に関する政府債の最長償還年限は30年とされていますが、これを40年に延長するもので、詳細はこれから明らかにされていくということであります。
私は、これまでも、使用可能な施設については、法定耐用年数にとらわれることなく長く大事に使っていくべきだというふうに指摘をしてきました。一方、減価償却につきましては、法定の年数に基づいて会計処理が行われることがもちろん必要であります。2015年度、水道事業会計予算書を見ますと、年度末の配水管の総延長は5,953キロに達する見込みとなっています。貸借対照表を見ますと、水道局が保有する資産の合計は3,271億円で、ここから現・預金などを除いた固定資産は3,148億円となっています。非常に大きな額の資産を保有していることがわかります。まさに、本市の水道事業は大規模な装置産業であるということがこのことからもわかります。
そこで、水道局の固定資産の状況について質問したいと思います。
水道局が保有する資産のうち、減価償却の対象となる固定資産はどのくらいあるのか、また、当該資産に対する減価償却はどの程度進んでいるのか、伺います。
◎三井 総務部長 固定資産と減価償却の状況についてお答えいたします。
水道局が保有する固定資産につきましては、施設や設備など形のある有形固定資産と権利関係など形のない無形固定資産に区分されます。有形固定資産のうち減価償却の対象は2,303億円で、その大部分は配水管を主とする構築物となっており、また、平均耐用年数は約40年となっております。また、無形固定資産のうち減価償却の対象は248億円で、大部分が定山渓ダム、豊平峡ダムの使用権となっており、こちらの平均耐用年数は55年となっております。また、減価償却の進捗状況でございますが、対象となる資産に対して今までに減価償却を行ってきた額の累計の比率は、有形固定資産、無形固定資産ともに約5割となっております。
◆中村たけし 委員 今の答弁で、有形固定資産の平均耐用年数は40年、無形固定資産は55年ということで、減価償却はそれぞれ5割、半分程度進んでいることがわかりました。また、今後は、札幌水道ビジョンにおいて、豊平川水道水源水質保全事業であったり、白川第3送水管の新設といった大型事業、配水管の更新事業、緊急貯水槽の整備などの災害対策事業などが主要事業として掲げられており、水道局が保有する固定資産がさらに増加することとなります。これらの固定資産は、長期にわたって使用されることとなるため、建設事業の財源についても長期的な視点を含めて考えていく必要があると考えます。
これまで、我が会派では、本格的な更新事業を乗り切るために、各年度の決算で生じた利益を将来のための財源として積み立てることを要望して、その結果、水道局では水道施設更新積立金の積み立てを行ってきたという経緯があります。私は、昨年の
決算特別委員会で水道施設更新積立金の活用についても質問しましたが、このときの水道局の答弁では、平成26年度末には150億円の残高となる見込みであり、これを平成27年度からの5年間に分けて取り崩すという答弁がありました。今回の平成27年度予算を見ますと、建設改良費として189億円が計上されておりまして、前年度と比べて約54億円も大幅に増加しています。
そこで、平成27年度の建設改良事業の財源について次に質問します。
1点目として、建設改良事業を実施するに当たり、水道施設更新積立金をどのように活用していくのか、2点目として、建設改良事業の財源とする企業債の借り入れ状況はどのようになっているのか、お伺いします。
◎三井 総務部長 平成27年度の建設改良事業費とその財源についてお答えいたします。
平成27年度は、建設改良事業費の大幅な増加に伴い、これまでにも増してその財源への対応が課題となりますが、財務基盤の強化を図る観点から、企業債の増額をできるだけ抑制する一方、これまでためてきた水道施設更新積立金を取り崩し、財源として活用することといたしました。
なお、水道施設更新積立金につきましては、現在策定中の水道ビジョンに盛り込んでいる財政収支見通しにおいては5年間で150億円全額を取り崩す見込みとなっており、平成27年度はこのうち30億円を取り崩すこととしています。
次に、企業債借り入れの状況でございますが、ただいまご説明いたしました水道施設更新積立金の活用により、借入額は前年度から10億円増の40億円に抑制することが可能となり、起債充当率も建設改良費の21%と前年度と同程度に抑えることができました。今後も、水道施設更新積立金の活用と企業債の借り入れバランスに留意しながら財源の確保に努め、計画事業を着実に進めていきたい、このように考えております。
◆中村たけし 委員 今の答弁で、水道施設更新積立金を今後5年間で全額取り崩していくということでした。札幌水道ビジョンの財政収支見通し期間は5年間ですが、この期間においては、建設改良事業費が大きく増加する厳しい状況ですし、先ほどの質疑からでも、この先も更新事業には相当な費用が必要になることがわかると思いますので、今後、水道施設更新積立金がどうなっていくのかということが焦点になると思います。
そこで、質問ですが、水道施設更新積立金については、将来にも財源を残すことができるように努力していくべきと考えますけれども、この水道施設更新積立金について水道局の考えを伺います。
◎三井 総務部長 水道施設更新積立金の今後についてというご質問だと思います。
委員がご指摘のとおり、私どもも、これからの更新事業に係る財源の確保は重要な課題であるというふうに認識しております。水道施設の更新は、将来にわたり、長期間、継続して実施することとなりますので、引き続き、収入の確保や事業の平準化、経費縮減といった経営努力を進めることにより、将来に向けた水道施設更新の財源をしっかり確保できるよう努力してまいりたいと考えております。
◆中村たけし 委員 まさに今、部長がおっしゃられたことがこれから求められていくと思います。フローとして収入をしっかりと確保して得ていく、そして、出費を削減していく経営努力が求められると思います。前段に述べましたけれども、水道事業というのは大きな装置産業ですから、その固定資産をしっかりと管理して、使えるものは長く使っていくことが必要だと思いますので、今後もしっかりと取り組んでいただきたいということを要望して、終わります。
◆阿知良寛美 委員 私からは、入札に参加しやすい工夫と広域化の推進について、2点お伺いいたします。
初めに、入札に参加しやすい工夫についてお聞きいたします。
建設業界の最近の景況については、大手企業では、震災復興需要やアベノミクスによる公共投資の回復により徐々に景気回復の兆しが見られるものの、中小建設業界においては、相変わらず景気回復の見通しが立たない情勢のようであります。道内の民間信用機関の調査によりますと、現在、地元建設業界の景気は悪い状況にあり、今後もその傾向がやや強まる見通しとの見解であります。資材価格の上昇による資材調達が困難な状況、あるいは、建設労働者の賃金上昇に伴う人員の確保の難しさから、受注が減少傾向をたどり、資金繰りも厳しい中、収益も減少し、経営が厳しい状況にあると伝えられております。まさに、コスト増、人手不足の状況に困窮し、不況に苦しんでいる実態がかいま見えるところであります。さきの新聞報道によりますと、市内部の予算査定の際、市長は、挨拶の中で、札幌の経済を滞りなく回るようにしたいと発言していたようでありますが、ぜひ、中小建設業界も、市長が言われるように滞りなく回るよう予算執行をしっかりやってもらいたいところでございます。
さて、水道局の予算書を見ますと、債務負担等の発注枠を前年度比で倍増し、早期発注を積極的に展開していくことで中小建設業界を支援していこうという姿勢がうかがわれ、心強いところでございますが、しかし、今年度のように不調が多発するようではせっかくの対応が生かされないのではないかと懸念するところでございます。不調が発生するということで事業を着実に執行できなければ、事業者にとっては社内の経営計画も立てられず、ますます困惑、困窮するわけであります。
私は、さきの3定で、水道局の入札不調と入札制度の見直しに関して質問し、当局からは、回答として、関連団体との意見交換会やアンケート調査の実施、あるいは、水道工事を担う人材育成については講習会への関与などのほか、入札方式の見直しが示されたところでございます。その後、意見交換を実施したとのことであり、その際に出された意見や要望の集計結果についても、私は、過日、確認させていただきましたが、その一方で、建設新聞には不調要因の一つが配管工の確保困難であったことや、また、意見交換会から出された要望の対応として可能なものは前向きに検討すると記載されていました。
そこで、質問でありますが、関連団体との意見交換会やアンケートの結果を踏まえ、どのような対応を検討してきたのか、お伺いいたします。
一つ目は、配管工の確保とその育成について、二つ目として、不調の対策の具体的な対応についてお伺いいたします。
さらに、新聞の記述にもあった価格乖離の課題についても何か解決策を考えておられるのであればお伺いいたします。
◎酒井 給水部長 関連団体との意見交換、あるいはアンケートの結果を踏まえた対応についてのご質問でございますが、これらの意見交換、アンケート調査につきましては、昨年11月に実施し、その際に寄せられた意見や要望の中で業務に反映できるものは速やかに対応し、実効性のある対策を講じてきたところでございます。具体的には、まず一つ目の配管工の確保とその育成についての
取り組みでありますが、従前から行っている日本水道協会の配管工講習会のほかに、昨年11月、札幌市管工事業協同組合の協力を得ながら、札幌市では初めてダクタイル鉄管協会の資格取得講習会を開催し、配管工確保の対応を図ってきたところでございます。この講習会では約30名の参加を得て好評だったことから、引き続き、平成27年度も実施していく予定でございます。さらに、資格はあるものの経験の少ない配管工に対する技能研修会につきましても、今後、参加の意向調査を実施の上、関係団体との調整を経て、平成27年度中に実施していく予定でございます。
続きまして、二つ目の入札不調対策の具体的な対応についてでございますが、新年度から、次の2点について取り組んでまいりたいと考えております。
まず、1点目は、入札不調の回避策といたしまして、年間発注計画において平成27年度の年度当初予定工事を前倒しして、債務負担などの早期発注工事の事業量を多く組むこと、あるいは、5月から9月までの発注本数につきましても、工事の許す範囲で平準化をすることなどによって配管工不足の対応や他工事との競合回避を図り、入札に参加しやすい状況を整えてまいりたい、このように考えております。
2点目といたしまして、国から示された品確法の事務運用指針を踏まえまして、総合評価方式の見直しを予定しております。具体的には、配管工の雇用につきまして、新たな評価点の加点項目とすることを検討してまいりたいと考えております。
最後に、新聞の記述にありました価格乖離の課題への対応についてでありますが、工事の設計段階において、よりきめ細やかな単価設定を行うことで現場条件に見合った適正な積算に努めていく考えでおります。具体的には、舗装切断や区画線などの小規模施工におきまして最低保障の考え方を試行的に導入し、事業者の意見等を伺いながら実施に向けた検討を進めること、また、管路部分の掘削幅につきまして作業性を考慮した幅に見直すことなどを検討してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、引き続き、事業者との連携を深めながら、課題解決に向けた検討を進めるとともに、円滑な事業執行に努めてまいりたい、このように考えております。
◆阿知良寛美 委員 交換会で出された意見、要望に対して細かく具体的に検討されているのはよくわかります。ダクタイル鋳鉄管の配管工確保のさらなる
取り組み、それから早期発注、平準化、これは、大体どの部局に行ってもこういう答えが返ってきます。さらに、積算最低保障とか、あるいは、掘削幅は作業効率を図る上で非常に大きいだろうと思います。
一方で、資材単価については、札幌市水道局は支給材がほとんどだろうと思いますから余り影響がないのかもしれませんが、横浜市などは、資材単価について年4回の定期改定があり、また、主要資材は毎月調査して臨時に改定していく体制を整えているようでありますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
私が水道工事の受注者に伺ったところによりますと、水道工事と他の工事が同時に発注された場合、どちらかといえば水道工事を敬遠し、他工事を優先的に選択するという答えがありました。この風潮が水道工事の入札参加数の低迷を招き、結果として入札不調が発生する要因の一つになったのではないかというふうに思います。この状況について私が個人的に感じるのは、今の水道工事が事業者にとって余り魅力的なものになっていないのではないかということでございます。
水道局では、今後、80年という長期にわたって管路更新事業を展開していく計画を立てておりますが、そうした情勢を見ますと今まで以上に施工事業者の協力を仰いでいかなければならない状況であります。施工業者の受注意欲が回復するよう、早急に実効性のある対策を講じていく必要があるのではないかと考えております。
かつて、私は、オブザーバーとして参加した水道局と関係団体との会議において、水道工事を魅力あるものとして改革するために、新たに請負事業者を対象とした優良表彰制度を設けてはどうかと提案させていただきました。これについて検討してみてはいかがでしょうか。
水道局では、給水装置の工事事業者に対する表彰を実施し、50年近くの歴史、実績があります。しかし、水道工事を請け負っている事業者に対する表彰についてはいまだ実施していないようでありますので、これを機会に、土木や建築設備の事業者に対しても拡大してはどうでしょうか。
また、あわせて、入札参加辞退の理由に掲げられている配管工確保の課題に対する解決策の一つとして、配管技能者などの個人に対しても社会的評価の向上や業務意欲の高揚、責任意識の向上を図る意味からも新たな表彰制度を確立してはどうかと考えますが、見解をお伺いいたします。
◎酒井 給水部長 新たな表彰制度についてお答えいたします。
請負工事業者に対する優良表彰につきましては、水道局内部におきましても以前から話題にはなっていたところでございますが、制度発足の機会がなかなかつかめないまま今日に至っていたものでございます。このたび、かねてより委員からご指摘を受けていたこと、また、建設関連団体との意見交換会の場においても話題となったことを受けまして、局内に表彰制度検討委員会を立ち上げ、新たな表彰制度のあり方について検討を進めることとしたところでございます。
優良表彰制度は、事業者にとりましては社会的評価の向上や受注意欲の高揚などの効果が期待できるとともに、発注者にとりましても、事業者の良否の見きわめや工事の品質向上に寄与するほか、今抱えている課題の解決に向けて大きく期待できるものと考えております。表彰に当たりましては、現在実施している給水装置工事事業者に対する表彰に加えまして、新たに土木、建築、設備事業者などの請負業者に対しても表彰の対象として拡大を図り、平成28年度工事から評価対象として始めてまいりたい、このように考えております。また、あわせて、長年、水道事業に貢献されてきた配管技能者など工事の従業者に対する新たな表彰制度を確立させてまいりたいと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、新たな表彰制度が今抱えている入札不調の課題解決の一助となり、あわせて、建設業界全体の活性化につながっていくことを期待するところでございます。
◆阿知良寛美 委員 今後も引き続き、建設業界の情勢や動向をしっかり分析しつつ、要望や意見に耳を傾けながら対応を図っていただきたいと思います。あわせて、ことし1月に国土交通省から示された品確法の事務運用指針に基づいた見直しが的確に実施されて、建設業の健全な発展に向けた
取り組みが進んでいくことを期待しております。
この話は2回目ですが、生島副市長が札建協との新年交歓会で発言されたように、建設業はまちづくりのパートナーであります。パートナーが元気になること、活性化していくことが、ひいては札幌市全体に元気が沸いてくることにつながると思いますので、支援をよろしくお願いいたします。
続いて、広域化の推進についてお伺いいたします。
今、パートナーという話をさせていただきましたが、現在策定中の札幌水道ビジョンではパートナーシップの方向性が示されており、共同研究会の開催や水道水の相互融通の検討など、道内水道事業体とのパートナーシップを強化することが掲げられております。我が党は、これまでも、札幌市や北海道の水道事業を支える役割を担うべきと考え、広域化の推進について取り上げてきたところであります。
そこで、質問でありますが、札幌水道ビジョンのスタートに当たり、広域化の推進についてどのように進めていくのか、お伺いいたします。
◎三井 総務部長 水道ビジョンのスタートに当たっての広域連携の
取り組みについてお答えいたします。
札幌水道ビジョンに掲げるパートナーシップの方向性を具現化させる方策の一つである広域連携につきましては、まずは江別市、小樽市、北広島市の3市と今年度末をめどに連携協定を締結するべく協議を行っているところでございます。この協定は、緊急時の水の相互融通などの災害対策や、人材育成のために欠かせない研究、研修などの業務を進めるに当たり、隣接している地理的メリットを生かし、相互に協力し、連携をより深めることを目的として締結するものでございます。これを契機に、実務レベルでの情報交換や、互いに知恵を出し合う機会をふやし、ともに技術力や利用者サービスの向上につなげられるよう取り組んでまいる所存でございまして、まずは、災害時や緊急時の相互応援体制の充実に向けて、緊急時連絡管の整備について検討、協議を進めてまいりたいと考えております。
◆阿知良寛美 委員 道内の中小事業体は、人口の減少、水需要の低下に伴う料金収入の減少、昭和30年代から40年代にかけて急速に整備された水道施設の老朽化、さらに、水道事業に従事する職員の退職に伴う技術の継承の問題など、事業運営に苦慮しているところが多いと思います。北海道の発展なくして札幌市の発展なしとの考えのもと、北海道の中心都市としての役割を果たすべく、広域連携を推進していただきたいと思います。そのことにより、札幌だけではなく、連携する事業体においても技術力の向上や利用者サービスにつながるものと確信し、私の質問を終わります。
12年間、大変にありがとうございました。
◆井上ひさ子 委員 私からも、札幌水道ビジョンについて伺いたいと思います。
長期的な視点に立った
取り組みの方向性、今後10年間に進める
取り組みがこのビジョン案に示されました。ちょうど1月にパブリックコメントが行われて意見がまとめられたとお聞きしましたので、資料をいただきました。
この中で、第7章の重点的
取り組み項目と事業の実施計画のところについて多く意見が出されています。水源の水質保全や水源の分散配置などについての意見ですが、これを札幌水道ビジョンの中にどう反映されていくのか、また、そうされない場合の対応について伺いたいと思います。
◎三井 総務部長 パブリックコメントで出された意見のビジョンへの反映についてお答えいたします。
昨年12月22日から1月23日までの33日間実施いたしましたパブリックコメントによりまして、15名から延べ46件の貴重なご意見をいただきました。主な項目といたしましては、委員から今ご指摘のありました水源の水質保全に関することや水源の分散配置に関すること、今後の水需要予測に関すること、浄水場の改修に関すること、財政収支見通しに関することなどへご意見をいただきました。
これらいただいた意見をもとに、当初案から3項目の修正を行う予定でございます。1点目は、浄水処理の際に使用する塩素の効果について利用者にしっかり伝わるように説明を修正すること、2点目は、水源の分散配置の必要性について、豊平川で想定される事故の具体例を追加すること、3点目は、きき水の体験者から、水道水のおいしさや安全性をより多くの市民に理解していただくためにきき水は効果があるという意見をいただいたことや、今年度から先行的に実施した結果を踏まえて、このビジョンの総合指標であるじっかん指標のきき水体験者数の目標を10年間で延べ5万人から10万人に上方修正するものでございます。その他いただいたご意見につきましても、札幌市の考え方とあわせてビジョンに掲載することとしておりまして、いただいた貴重な意見を今後の水道事業運営の参考にさせていただく所存でございます。
◆井上ひさ子 委員 3項目の修正が行われて盛り込まれることと、盛り込まれない中身についても市の対応が示されると思いますけれども、やはり、札幌市の水道の問題に関心を持たれてかかわっている方々の声はすごく大事だと思いますので、ぜひ、この対応を引き続きやっていただきたいと思います。
それから、ビジョンの特色の一つにパートナーシップの醸成と書かれていて、先ほど広域連合のことが述べられましたが、さまざまなパートナーシップが特色であって、利用者、出資団体、民間企業、他の水道事業体などとの連携ということがここで盛り込まれております。ただ、私は古い議員なものですから、どうもパートナーシップということにとても敏感でありまして、財政が厳しくなれば、それを口実に市民に我慢や負担を強いたり、過度な民間委託を進めていくこともあったような気がします。
そこで、ここで言っているパートナーシップとはどんなことを示すのか、改めて伺いたいと思います。
◎三井 総務部長 パートナーシップについてというご質問でございますが、札幌水道ビジョンにおけるパートナーシップとは、利用者や出資団体、民間企業、他の水道事業体、教育・研究機関など水道の関係者、または関係機関が連携協力し、これによって創出される相乗効果を通して事業目的を効果的に達成する仕組みをあらわしております。その例といたしまして、水道水のおいしさや水源の保全に関する利用者との情報共有、水道事業の
取り組みについて利用者との意見交換を進めていくための利用者とのパートナーシップ、また、出資団体や民間企業と今後も連携していく一方で、今後増加していく業務に対応するため、委託業務の範囲や内容について適宜見直しを行う事業運営におけるパートナーシップ、さらに、道内の他水道事業体と課題を共有し、その解決に向けてともに取り組んでいく道内水道事業体とのパートナーシップなどが挙げられます。
このように、利用者の信頼性向上や業務の効率化、技術力の確保、向上、災害対応力の強化など、さまざまな
取り組みを効果的・効率的に進めていくための有効な手段としてパートナーシップの活用を進めてまいりたいと考えております。
◆井上ひさ子 委員 ただいまの答弁で言えば、連携して相乗効果を向上させていくという中身だったと思いましたので、これについては聞いておきたいと思います。
次に、先ほども議論がありましたが、再生可能エネルギーについても触れたいと思います。
水道水をつくるときに大量の電気を使います。これまでも、省エネに取り組んできました。藻岩浄水場で標高差による水圧を有効利用した水力発電を導入したり、配水センターに太陽光発電を設備するなどしてこれを活用しています。再生可能エネルギーの利用率は、大都市平均が2011年で2.6%ですが、本市は2013年で7%と、いただいたパンフレットを見ますと大都市平均よりも高いのですね。ですから、電力エネルギーの使用量が少ないということで言えば努力されていると思います。
私も、やっぱり、今後の低炭素社会とか脱原発依存社会に向けた
取り組みの中で、環境問題も考慮して計画を進めていくべきだと思います。いつ、どこに水力発電を増設していくのか、そして、北電から電力を購入しなくても自家発電で賄うことを基本に、今行っている売電できるような規模を検討していくべきと考えますがいかがですか、伺いたいと思います。
◎酒井 給水部長 水道局における水力発電の導入についてお答えいたします。
ご質問にありました藻岩浄水場の水力発電に加えまして、水道ビジョンの期間におきましては、平成31年までに平岸配水池に出力600キロワット規模、白川浄水場に出力100キロワット規模の水力発電施設をそれぞれ整備する予定でございます。この二つの施設に既存の藻岩浄水場の発電量を加えますと、水道局の電力使用量の約25%を賄える見通しとなっております。
また、委員よりお話がありました売電についてでございますけれども、現状におきましては、エネルギー政策上では固定価格買い取り制度を活用した売電が最も経済的メリットがあるものと考えております。今後は、電力自由化等の動きも踏まえまして、さらに、その時点での売電単価をにらみつつ、自家消費と売電を組み合わせて最適な枠組みを活用してまいりたい、このように考えております。
◆井上ひさ子 委員 この点について言えば、今後10年間のビジョンが示されていますので、ぜひ、これを進めて
取り組みを強化していただきたいと思います。
最後の質問ですが、今、本市は市民に節電を求めています。そういう中で、水道局においても、昼休みの消灯や室温の管理など、皆さんは相当工夫していると思うのです。そこで、私は、水道庁舎内の節電対策として照明器具にLEDを進めるべきだと思っています。この間、この本庁舎も進めてきておりますが、この点についての計画はどのようになっているのか、伺いたいと思います。
◎三井 総務部長 水道局庁舎における照明のLED化についてお答えいたします。
水道局では、これまでに法定耐用年数の15年を超える照明器具につきまして、順次、LED化を進めておりまして、現在、水道局の全19庁舎のうち13庁舎で導入を終えております。残りの6庁舎につきましては、LED照明が一般に広く普及する前に電力負荷の小さいHf蛍光灯を導入しておりまして、今後は、耐震化など庁舎の改修に合わせて、さらに消費電力の小さいLED照明を順次導入してまいりたい、このように考えております。
◆木村彰男 委員 昨年10月末に、水道局では、特に水道工事の入札不調等の実態を把握するためにアンケート調査結果をまとめたということが新聞記事に出ておりまして、私もそれを読ませていただきました。この結果を見ると、配管工のことが出てきます。先ほど別の委員も質問していますので重ならないようにしますが、この配管工と言っているのは、私が調べた限りでは、国家資格の給水装置工事主任技術者試験とか、1・2・3級の技能士、1・2級の管工事施工管理技師という資格を有している方を捉えているのかなと思います。今回、これらの資格者にアンケート調査をした結果、例えば数であるとか年代別など、札幌市としてどのように把握されているか、一旦聞いてはおりますが、まず、お聞かせください。
◎高橋 配水担当部長 配管工等の調査した結果のデータということでよろしいかと思いますが、平成26年度に発注した口径350ミリ以下の配水管工事228件を対象に従事した配管工について調査したところでございます。書類で確認できるだけで、128名の配管工が従事していたことがわかりました。もう少し解説しますと、平均で1人当たり3件の工事を受け持っておりまして、また、工事という観点でいきますと、1件当たりの工事に平均で2人の配管工が従事していたという状況にあります。
◆木村彰男 委員 私が伺っているときには、もちろん、指定給水装置工事事業者というのですか、札幌市の場合は登録業者ですね。札幌市においては、業者が具体的に指定されていて、その方が登録されていて、給水装置の新設であるとか改造、修繕、撤去などの工事をやっています。今、部長がおっしゃったのは入札にかかわる調査の話だと思うのですね。だから、例えば住宅を新設した場合は、水道の皆様は関係ないですが、今言った指定業者がやらなければいけません。その指定業者には基本的に配管工という人がいなければいけないでしょう。そういう理解でよろしいわけですね。
◎高橋 配水担当部長 我々の一応の区分として、今、私が申し上げたのは配水管工事にかかわる配管工の調査でございます。縦断的に布設されている配水管から宅内に向かう工事のことを給水工事と申し上げましたが、我々はそれを業者工事と呼んでおりまして、今、指定水道業者制度というのを設けてそこには国家資格である給水装置工事の責任技術者という者を置かなければならない規定になっているところでございます。
◆木村彰男 委員 だから、部長がおっしゃったものはあくまでも入札を対象にした工事、大きな工事という意味でおっしゃっているのかわかりませんが、私は、なぜこの話をしているのかというと、広く水道の水源から蛇口のところまでは僕に言わせると一体のものなのですね。要するに、今、部長がおっしゃる大きな水道管の工事を年々歳々ブッキングして直していっているわけですね。昭和30年代のもの、昭和40年代のもの、昭和50年代のものと随時かえてきて現在に至っている。そしてまた、平成になって埋めたものについても工事をして、新しくまた掘り起こして更新していく、そういう持続的な工事をやりますでしょう。今言っているそういう工事にかかわる配管工と、給水などの一般の新設の配管工はダブってこないのですかとお聞きしているのですよ。
◎高橋 配水担当部長 一応、枠組みというのでしょうか、資格の制度が異なるというか、今申し上げた国家資格に当たる部分と、それから、配管工につきましては、日本水道協会という全国的な組織、あるいは、先ほどもちょっとご説明がありましたダクタイル鋳鉄管協会など、そういう業界が主催して行う講習会を通じて資格を取得する制度がございまして、それは別の系統で分かれているという理解でよろしいかと思います。
◆木村彰男 委員 だから、今は配管工と一緒に言っているけれども、言っていることは違うのですね。部長がおっしゃっている配管工というのは、業界団体があって、その業界団体がやる試験に合格したような人であれば配管工としてできるわけですよ。けれども、水道の本当の末端のほうの指定業者は、今言った国家試験の資格者がいないと工事ができないわけですね。要するに、こっちだけいればいいという話ではなくて、こちらがだんだん衰退してきて、そういう技術者がいなくなったとしましょうか。そうすると、100の新設工事があったとしても、そういう工事ができなくなってしまうと、一般の家庭の方のところにはつなげないわけですね。今、皆様方のお仕事だけの話をしているけれども、結局のところ、こういうような指定の業者も含めた意味で、幅広くそういう体制を見ていかないと、札幌の水道事業はこっちだけやっているわけではなくて、一般のものもやっているわけです。凍結などがあった場合は、今言った指定の業者のところに行くわけですね。電話がかかってくるわけですよ。そこには今言ったような技能士がいて行ってくれればいいけれども、今、事業承継というか、そういうこともなかなか難しくなってきているわけですよね。零細になって太刀打ちできなくて、そっちもだんだん少なくなってくるし、こっちの配管工の人も少なくなってくる。そうすると、両方を賄っていく水道事業全体のバランスを考えていくと、両方をにらんでいかなければならないのではないかというのが私の考えです。
どうしてそういうふうになっているかというと、もともと水道の事業というのは、最初はそこのつなぐところも含めて公がやっていました。それが今言った民間の指定業者という独立した形になっておりますが、私に言わせると、これはみんな水道一家です。この水道一家があって、初めて水源から水道の一番端まで行くという考えなんですね。
どうしてこうなったのかなと私なりに考えてみたら、実は刑法の第15章に、飲料水に関する罪とあります。これは、水道そのものを破壊するとか、水道に汚染するようなものをまぜた場合は、社会的な法益の侵害と言って公衆の健康に対する侵害となるから、誰でも扱えなくしているのですよ。つまり、業者としてある程度指定して、縛りをかけて、有資格者とした上で水道にそういうものを紛れ込ませない、そして、水道の管を保持していきながら、一体のものとして国民の健康を守っていく、そういう仕組みになっていると私は理解しております。
だから、部長がおっしゃっている配管工の方々は、配管工という意味では同じカテゴリーに入れているのかもしれないけれども、今言った指定業者の問題も含めて、これは両にらみでいかなければいけないのではないかと私は思います。だから、こちらの配管工もそうだけれども、指定業者のほうの目配り、気配りというのはどうなっているかということをご質問しているのですよ。
◎高橋 配水担当部長 まさに委員がおっしゃるとおり、我々は、水源から蛇口まで向かってシステムとして捉えて安全で安定な水を供給できるような体制を保持しなければなりません。そういう意味では、利用者に一番近いところで仕事をしている給水工事業者の皆さんをしっかり大事にしなければならないのはおっしゃるとおりです。ですから、そこの部分の業者の数であるとか、どういう責任技術者がいるという数字は、我々にもそういうセクションがございますので、そういう仕組みの中で確保、確認しているところでございます。一方では、先ほども給水部長が申し上げたように、表彰制度の話題がございましたが、従前より、給水装置工事業者の指定工事店に対する表彰制度を組み込んでおりまして、長年、そのモチベーションを高く維持できるような形での仕組みを整えながら、多少大き目の配水管工事にかかわる人、それから、お客様に結ぶ給水管にかかわる人が責任を持って仕事ができるように取り組んできていると認識しているところです。
◆木村彰男 委員 前もって担当者とも話をしましたし、水道ビジョンを見せていただいていますが、この水道ビジョンにいろんなことが書いてあるけれども、今言ったような大きな工事をやっていただくというか、毎年、更新していくような工事のことだとか、今、私が申し上げた指定業者のこと、工事業者のことは、実はこれには書いていないのですよ。書いていなかったと思います。これは、副市長もおっしゃっていましたけれども、皆様方だけではできないということなのですよね。これもお話ししていますけれども、昭和12年、1937年から始めてことしは78年目ですが、この事業の永続性ということでは、百年の大計として、ここにいる人がみんな死んだ後もこの水道事業を続けていくはずです。孫子の代まで続けていかなければいけない。そのために、今、私が申し上げたような持続的な事業の継続、昭和30年代も、40年代も、50年代も更新しながら新しいものにつけかえてくる、もしくは、新設の住宅があったら、その工事、改造も一体のものとして両にらみで見ていかなければいけない。こっちだけやっていても、この水道事業というのは全体としてはいけないわけですよ。私はそう思う。それはこの水道ビジョンに書かれていない、今、足元の危機ではないと言っているわけです。(発言する者あり)
何ですか。何を言いたいの。
○桑原透 委員長 質問してください。木村委員。
◆木村彰男 委員 (続)こういうようなことを考えていけば、例えば、部長がおっしゃったところの配管工が半分になったとしましょうか。そうすると、仮に100の工事を100の配管工でやっていたとすれば、配管工が50になると、100の工事は50しかできないことになりますね。そうですね。そうすると、今まで、ことしは100やろうと積んでいたものが、配管工の人がいなくなってあるときから50というようなことになってくるわけですよ。そういう意味合いにおいては、工事の目標としてブッキングしていた数などをどこかで変えていかなければだめです。もちろん、管の寿命が倍になればそれは解決しますから、技術革新も一つはあると思いますが、人手の問題ということで、私は入札不調の観点とは別な観点で言っているつもりなのだけれども、こういう資格者を常時準備していくことについてどういうふうに考えているか、お聞かせいただきます。
◎高橋 配水担当部長 委員からビジョンの関係でご指摘がありましたけれども、先ほどからお話があったように、私たちも、配管工あるいは給水装置工事の技術者は非常に大事な存在で、我々が事業を営む上で欠くべからざる存在であるというふうに認識しております。ですから、水道ビジョンの案では、次世代の担い手への技術継承であるとか、水道事業の関係者とのパートナーシップといったものに重点的に取り組むといったような項目の中で、技術者の維持、育成を一つの
取り組みとして捉えているところでございます。
それから、長いスパンでの技術者の確保ということでございます。
おっしゃるとおり、やはり、持続できる水道事業のためには配管工がしっかり確保されなければなりません。そういう意味では、先ほど申し上げたように、毎年の配管工の動向がどういうふうになっているかという数字のデータについて、そのときそのときで内容をしっかり吟味しながら掘り下げて調査し、動向を把握していくことが必要だと思います。
それから、更新事業というのはこれだけ長く恒常的に安定してあるのだということをしっかり業界の皆さんにわかっていただくために、これまでもホームページとか建設業界の役員会といった会合を通じて積極的に情報提供を図ってきたつもりですけれども、これからも一層図っていきたいというふうに考えております。また、その育成と技能の向上という部分におきましては、全国的な日本水道協会のような機関と連携しながら配水管技能講習会の回数をふやしていくとか、あるいは、ダクタイル鋳鉄管協会の資格講習会を札幌でやれるようにするとか、そういったことでしっかり連携して役割を果たしていきたいなと思っています。
そして、委員も先ほどおっしゃっていましたが、水道事業は本当に特有の歴史があります。直営ということで、本当に昭和50年までは我々事業体みずからが配管工として取り組んでいた時代があり、それから10年ぐらいかけて民間に移行してきました。その間、我々事業者側の現場の人間がしっかりと技術継承してきた、一緒に汗をかいてやってきたというような歴史があります。それが、今の時代においては、民間の企業の皆さんの中で講習を行っていきながら、そして、配管工の育成をしていただいている状況になっています。我々も、それが健全に進むようにしっかり支援をしていくことが基本的に大事なことであると認識しているところであります。
◆木村彰男 委員 要するに、足元の危機でないのは私もわかっています。けれども、今言ったように、部長、全体の現状分析ですね。何人いるかとか、どういう世代構成になっているかとか、先ほど言ったように、水源から蛇口に至るまでにかかわる方がいて、私に言わせれば水道一家ですよ。昭和50年代から始まって民間に委託したというのはいいのですよ。けれども、現状はどうなっていて、どういう人たちがそれを担っているのか、皆様方がわかっていなかったら、そちらはどんどん先細りして、事業承継もできなくなり、食べていけないからいつの間にかなくなっている。やはり、そういうことになっているという現実を直視していくならば、それらの人たちに本当に仕事が行っているのか、もうかっているのかと、そこまで踏まえた上で、今言った皆様方の目配り、気配り、それから、配管工の数だとか世代だとかをきちっと調べていくべきだと思います。水道ビジョンにはそこまで書いていなくて、総論としてはもちろんいいですけれども、各論としてはそれをきちんと把握した上で明確に事業を執行していただきたいということを希望して、私の質問にかえさせていただきます。
○桑原透 委員長 以上で、水道事業会計予算の質疑を終了いたします。
ここで、およそ20分間、委員会を休憩します。
――――――――――――――
休 憩 午後2時57分
再 開 午後3時20分
――――――――――――――
○桑原透 委員長 委員会を再開いたします。
最後に、議案第12号 平成27年度札幌市軌道事業会計予算及び議案第13号 平成27年度札幌市高速電車事業会計予算について、一括して質疑を行います。
◆伴良隆 委員 私は、経営計画における乗車人員目標に見るマネジメントのあり方について伺ってまいりたいと思います。特に、ここでは札幌市交通事業経営計画、平成26年度から30年度のものについて中心的に論じてまいりたいと思います。
皆さん方もよくご承知かと思いますが、経営計画の中で、リーマンとか、あるいはインフルエンザといった影響から一時的な回復ということで、地下鉄事業では、平成25年度は1日当たり約58.3万人まで乗車人員が回復してきました。しかしながら、人口減少社会でございますので、利用実態や今後の札幌市の人口推移を踏まえますと、推計では平成30年度までに年平均0.45%程度の減少が続くものと想定しているということで、その結果、26年度は58.6万人と見込んでいる1日当たりの乗車人員は、平成30年度には57.5万人まで減少するということになっております。一方、軌道系は、同じく、平成24年度から25年度の乗車人員の回復傾向を踏まえて、26年度は25年度と比べ1%程度の増加を見込んでいます。しかし、同じように、人口減少に伴う年平均0.2%程度の減少を見込み、運賃改定の影響も含めると、全体で年平均約0.4%の減少に転じるものと推計しております。
しかしながら、交通局としては、地下鉄事業と路面電車事業の目指す乗車人員ということで、1日当たりの乗車人員目標を地下鉄では60万人、路面電車では2.5万人と大きくうたっております。ただ、札幌市まちづくり戦略ビジョンでは、全ての公共交通を合わせて10年で2万人増を掲げておりまして、公共交通というのは当然バス交通も含めてですから、交通局が独自に掲げている目標は、まちづくり戦略ビジョンと照らし合わせてみると、非常に高いレベルの目標値を掲げていることになります。
私は、今まで交通局の皆さんとお話ししたり、いろいろな計画を見せていただいている中で、やはり、駅周辺のまちづくり、それから他分野からの利用者へのアプローチ、こういったものについては、確かにそれは責任部署ですからそれでいいですけれども、私の感触では別の部署のことであるというふうな雰囲気を今まで議会でも感じていました。しかしながら、例えば、地下鉄の階段に、健康づくりということでは水泳での400メートルになるよとか、保健福祉局のほうでそういう掲示をしていただいていたり、部局横断的な
取り組みもありまして、そういったこともまた評価できますし、階段のところに健康づくりのお知らせを掲示することは全駅に拡大していただくとともに工夫、充実していただきたいなと思っておりました。
それから、やはり、市電のループ化という議論は我が会派もかなり厳しく言わせていただきましたが、この計画の中にも市電の経営は非常に厳しいという見通しを明確に打ち出されておりまして、上下分離は当然でありますけれども、今まで以上に沿線地区の都市計画という考え方も踏まえて、都市計画部門としっかりとコラボしていただきたいと思います。
そういった考え方の中で、私は、今回、この計画の中で、まちづくりへの貢献というものが大きく掲げられていることは非常に評価できます。今の組織横断的な
取り組みはもとより、今までの事業を回していくだけではなくて、都市計画やまちづくりとのコラボであり、貢献ということで、ここに掲載されているとおり、交通局部署としてもまちづくりに資する
取り組みをやっていくことによって結果的に乗車人員増に結びつくものと私も見てとれるわけでございます。しかしながら、さまざまな計画を見ている中で、先ほど申したように、非常に高い目標値なのではないかといったこともございます。
そこで、早速、質問に入りますが、この計画では、交通局独自の目標を達成するために、基本的に、さまざまな計画の中で取り上げられている一連の具体的な
取り組みをきちんと回していく、さらに、それ以外でもさまざまな
取り組みを進めていく、このように書いてあります。しかしながら、この計画の中には何をやっていこうとしているのかということは書かれておりませんので、目標達成に向けて、計画に記載したこと以外にどのような
取り組みを行ってきているのか、伺いたいと思います。
◎中田 事業管理部長 今、伴委員からお話がございましたように、地下鉄で60万人、電車で2万5,000人という乗車人員の目標達成に向けまして、まずは計画に掲げられている事業を着実に行っていくことが大切だと思っております。
しかしながら、60万人あるいは2万5,000人という目標の達成は決して容易なものではございませんので、計画に掲げている
取り組みのほかにも、時代に合ったお客様ニーズに応じた新たな
取り組みを行うことが必要であるというふうに考えております。では、具体的にどのようなことをやっているのかというようなご質問でございましたが、この新たな
取り組みを行うことの方策の一つといたしまして、今、交通局には600人以上の職員がおりますが、これら職員の発想を生かす
取り組みをやっていくことも大事なのかなと考えたところであります。そこで、計画初年度である平成26年度は、交通局の組織横断的なプロジェクトを組織いたしまして、乗車人員の目標達成に向けた
取り組みを職員みずからが発案して、今、実施しているところでございます。
具体的な
取り組みを若干紹介させていただきますと、一つ目は、通勤や通学、買い物以外の新しい地下鉄の使い方を提案するために、駅周辺の名所めぐりマップを作成しているところでございます。これは、全部で18コースを設定させていただいておりまして、ことしの4月下旬から各駅に置いてお配りしていきたいなと思っております。
二つ目は、単なる移動手段としてだけではなく、若者などが地下鉄で楽しく移動できるようにするためにハート型のつり革を設置しているところでございます。これは、実はあえて一般には周知しないで、東西線と東豊線の各線に青色と赤色のハート型のつり革を1組ずつ試行的につけております。あえて周知をしていないので、皆さんは今初めてお聞きいただいているかと思いますけれども、ツイッターなどを見ますと、若者を中心に、ハート型のつり革がついているよみたいにして情報が発信されておりますので、そういった意味では少し遊び心を持った
取り組みということで認知され始めているのかなと思っております。
三つ目といたしましては、忘年会、新年会の時期に地下鉄でお帰りいただきたいということで、終電時刻を告知するポスターを掲示いたしました。また、昨年12月には、その情報を差し込んだポケットティッシュを駅で配らせていただいています。
こういった職員のプロジェクトによる
取り組みをいろいろとやってきておりますが、これ以外にも、若者の発想を生かすために北星学園大学の学生によるワークショップを開催して、交通局への提言をいただく地下鉄活性化プロジェクトも実施しているところでございます。
◆伴良隆 委員 計画にのっていないので、どうやって高い目標に向かっていくのかなかなか具体的にわからなかったのでお聞かせいただきましたけれども、計画内外で職員みずから考え、行動するといった
取り組みがお話にあったわけでございます。
言わずもがなでございますが、今、部長からもご答弁がありましたとおり、基本業務をしっかりこなしていくことと、またもう一つは、企業局ですから、経営的な観点もやっていかなければいけません。そのはざまの中で、60万人というのは、私としては非常に質の高い目標値だなと思っております。58万何がしからの差とすれば、数字上は何かちょっと毛が生えたような感じかなと見えます。しかしながら、人口減少などを踏まえた実数値として考えたら非常に難しいわけですけれども、2万何がしをふやすというのが地下鉄であり、あるいは軌道系もまたそういったことなのかなと思います。
言わずもがなですが、市民のための企業局、市民のための交通事業でありますので、基本業務が安全かつ安心にサービスを提供するという意味で、運ぶ、あるいは乗る、移動する、こういった目標とともに、プラスアルファで、喜び、あるいは親しみ、楽しみ、こういったことで乗車人員を維持し、そしてまたアップしていくことが非常に必要であります。また、この計画の中にもステップアップということで次のサービス向上への原資としていくのだと書かれておりまして、こういったステップアップのための重要な手法として具体的な目標値を掲げていくことは大変理解できますが、ややもすると絵に描いた餅になりかねないことにもなります。しかし、札幌市営地下鉄事業10か年経営計画のときに、平成21年に中間検証と見直しを行い、収支改善目標を上方修正してこの計画に基づいて事業運営を行ってきた結果、見直し後の収支改善目標を着実に達成することができた、こういった皆さん方のご努力の結果もあります。
こういった高い目標と、今まで達成できたという成果もあり、そして、今、部長から
取り組みのご紹介がございましたが、それによってどれだけの人がいいと思ってふえていくか。これは可能性ですから、私はすぐに評価すべきではないと思うのです。そういう中で、ソフトからハード、ハードからソフト、またユニバーサルデザインのこともありますが、いろいろな新たな
取り組みを積み重ねていくという姿勢が非常に大事でありまして、その結果として60万人を、あるいは、路面のほうも2万5,000人の目標を掲げていくということでございます。
そこで、私が先ほどから申し上げているとおり、
取り組みは聞きましたが、こういう目標を掲げていて本当に大丈夫なのかと不安を感じるわけでありまして、これは、当然、市民としても自然な受けとめ方だと思います。申し上げたとおり、人口の推移から考えると、60万人とか、あるいは市電の2万5,000人という目標は生半可な努力では達成できるものではありません。職員の発想や意識や意欲を引き出し、それを組織として生かしていく
取り組みを継続していくためには、管理者としてマネジメント力が試されていると言えるのではないでしょうか。
そこで、経営責任者である若林事業管理者にお聞きしてまいります。
まず、1点目は、計画において、収支算定上の乗車人員とは別に、1日当たりの乗車人員として地下鉄事業は60万人、路面電車事業は2万5,000人を目指すと定めた管理者としての意図はどのようなものか、改めて伺いたいと思います。
続きまして、乗車人員目標を見据えたときに、これまで行ってきた計画外のさまざまな
取り組みに管理者としてどのような手応えを感じているのか、さらに、これら計画内外の
取り組みを継続していくために、組織をマメジメントしていく立場としてどのようなことを重視していくのか、経営者としての
取り組み姿勢を伺いたいと思います。
◎若林 交通事業管理者 まず、乗車人員目標を定めた意図とこれまでの
取り組みの手応えについてでございます。
計画策定に当たりまして、ぜひ、乗車人員目標を設定したいと考えましたのは、交通事業者として、交通局の職員とお客様とが共通のわかりやすい乗車人員という目標を設定することが、職員が一丸となって目標達成に取り組むことはもちろん、さらなるサービスアップに努めていくための大きなモチベーションになるだろうと考えたことにあります。つまり、この目標を組織管理のためのツールの一つとして位置づけたい、そういう思いがございました。計画の1年目から、意欲ある職員によりプロジェクトが組まれ、その中からさまざまなアイデアが生まれ、それを実現してきていることなどから、今、私としては確かな手応えを感じているところであります。
組織マネジメントとして、これから、また今、どのようなことを重視しているのかということです。
私が交通事業管理者に就任して以来、言い続けてきたことの一つは、組織内はもちろんですが、組織外、つまり市民とのコミュニケーションをしっかりとってほしいということでございます。交通事業者として最も優先しなければならない安全運行を確保するためにも、職場内のコミュニケーションがしっかりとれている必要があることはもちろんですけれども、また、そのことで職員の新たな発想が生まれ、それを生かしていくことで組織が活性化されていくのではないか、さらに、お客様とのコミュニケーションをしっかりとることによりまして、お客様の声の中に潜んでいる新しいサービスニーズを捉まえていくことができるだろうと思っております。
経営者としては、人、物、金という経営資源を最大限に生かすためにも、まずは、コミュニケーションがしっかり行われる組織風土をつくっていきたいと思っておりますし、今もそのことに向けて取り組んでいるつもりであります。そうした組織風土をつくり、市民の理解、協力を得ながら、交通局が一丸となって目標達成に向けた
取り組みを進め、市民の足を守り、豊かな暮らしとまちの発展を支えるという札幌市交通局の使命をしっかりと果たしていきたい、そういうふうに考えております。
◆伴良隆 委員 今、組織、そしてまた風土、市民とのコミュニケーションという一連のマネジメントへの考え方とともに、目標の立て方、目標値の据え方の意義は組織管理のツールの一つといったお話がございました。私は、今まで、まちづくり戦略ビジョンはもとより、それに伴ういろいろな部署のさまざまな計画と、その策定による目標や目標値を拝見してまいりました。いろいろな立て方があり、本市、各区、部局でいろいろな目標値を見てきましたが、例えば手がたくやっているものもあり、あるいは、高い質の目標を掲げているものもあります。今回は、58万何がしの地下鉄であり、市電もそうですが、手がたい目標があり、その中でさらに何人か盛って、それは高い質の目標となっています。しかしながら、ほかの部署では仮定に仮定を重ねて理想値にすぎないものもあったりしました。あるいは、目標値を掲げないで、精神論やきれいごとで済ませているようなものも私は見てまいりました。今、若林交通事業管理者からお話がありましたけれども、やはり、わかりやすい乗車人員というものを据えたことは、私は非常に評価できると思います。
こういったさまざまな質の目標値がありますけれども、こうした中で管理者のご答弁をもとにしますと、交通局が示した目標値とは、目標に向かうための潜在力と可能性を引き出すための現実的かつ高い質のものでありまして、さらには、管理者としてもそうですが、これは、職員一人一人のことを信じればこそ、また、職員がやる気があればこそ立てられる質のものである、このように私は思うわけでございます。
私は、こうした目標値の立て方とともに、職員の能力を最大限引き出そうとするマネジメントを市役所の各局、各部署は見習うべきと考えております。若林管理者におかれましても、表明された先ほどの姿勢が職員一人一人に行き渡るよう、強いリーダーシップ、マネジメントを引き続き発揮していただくようお願いしますとともに、今後とも、こうしたマネジメントが市政全体に行き渡るよう、また、これからも札幌市政全般に尽くしていただきますようお願いしまして、質問を終えたいと思います。
ありがとうございました。
◆中村たけし 委員 私からは、SAPICAについてと地下鉄駅の施設整備について質問したいと思います。
ICカード乗車券SAPICAは、平成21年、2009年から地下鉄に導入されましたので、昨年で5年が経過しました。この間、平成25年、2013年6月から、路面電車やバス3社との共通利用、またKitacaなど他社カードの受け入れを実施し、さらに、昨年2月には路面電車やバスの定期券サービスを開始するなど、こういったこともあって順調に運用枚数を伸ばしているところであります。特に、昨年5月で共通ウィズユーカードの販売が終了してから大幅な伸びとなっておりまして、ことしの2月末現在で98万枚を超える運用枚数になったとお聞きしております。SAPICAの利用範囲は小樽などの札幌近郊都市にも広がっているとはいえ、本市の人口の半数を超えるまで運用枚数が伸びたということですから、幅広い市民に浸透しつつあると言えると思います。
このように、SAPICAが浸透してきている理由は、SAPICAが持つ便利な機能にもあると思います。利用した運賃の10%がたまるポイントであったり、紛失した場合の再発行機能であったり、チャージすることにより繰り返し使える環境に優しいカードということがSAPICAの持つ特徴の一つで、このことでこれまでのウィズユーカードの大量廃棄がなくなり、市民の皆さんにもご理解をいただいていると思います。
そこで、質問ですが、幅広い市民に浸透しつつある中で運用枚数が順調に伸びているSAPICAですが、SAPICAを使い始めたばかりの方や、これから利用しようとする方には、チャージの方法、あるいは、改札機の読み取り部分にタッチするといったSAPICAの使い方がよくわからない、また、使うことに対して不安であるという声が一部で聞かれます。こうした声に丁寧に答えていくべきだと考えますけれども、この点についていかがか、お伺いします。
◎中田 事業管理部長 SAPICAの利便性や利用方法の周知の関係でございますが、今年度につきましては、昨年の9月にこれまでなかなかわかりづらいという声がございましたSAPICAのポイントサービスにつきまして、ポイントのたまり方とか使われ方などを説明したポスターをつくりまして各駅に掲示しております。また、障がい者団体や作業所などからSAPICAの利用方法について直接教えてほしいという要望がございました場合は、担当の職員が説明会に赴いて利用方法や便利な機能について説明させていただいております。さらに、お年寄りからチャージの方法が難しいといった声が幾つか寄せられておりましたので、高齢者だけではなく、障がいのある方などにもわかりやすいように券売機の画像やイラストを多用し、説明文には振り仮名をつけたチラシを作成いたしまして、今後、順次、各駅に置いていきたいと思っております。
このような
取り組みをしっかりと進めてまいりますが、運用枚数が順調に伸びている中で駅員への問い合わせもふえてくることが考えられます。チャージ方法がわからないというお客様などに対しましては、現在も駅員が丁寧に対応しておりますが、こうした方々にSAPICAの利用方法を早く覚えていただけるような案内についても現場において心がけてまいりたい、そのように考えております。
◆中村たけし 委員 障がいのある方だったり、高齢者の団体のところに出向いて説明する
取り組みをされているということでした。わかりやすい説明というのは大事だと思いますので、これからもやっていただきたい。そして、ポスターなどの形での啓発も必要だと思います。
今、部長からも答弁がありましたが、まずは何といっても券売機で駅員の皆さんに尋ねる機会が多いと思いますので、駅員の皆さんによるわからない方への説明、そして、駅員の皆さんがやってしまうのではなくて、使い方を教えて次からはその方が独自にできるというような
取り組みが必要だと思いますので、その辺は徹底していただきたいなと思います。
次に、SAPICAの今後のさらなる普及に関して質問したいと思います。
先ほどSAPICAの運用枚数は98万枚を超えたと申し上げましたが、当面の目標である100万枚の突破が目前に迫ってきている状況にあります。今月末にはウィズユーカードの利用自体も終了することから、ここ数カ月は運用枚数の伸びが続くというふうに考えています。
そこで、質問ですけれども、ウィズユーカードの利用終了後も、引き続き、SAPICAが幅広く普及していくためには、やはり、市民の皆さんに親しまれるSAPICAであってほしいと思いますので、目前に迫った運用枚数100万枚突破を絶好の機会と捉えて、SAPICAのさらなる普及に向けたPRを実施するべきだと考えますがいかがか、お伺いします。
◎中田 事業管理部長 SAPICAの運用枚数につきましては、現在のペースのまま増加してまいりますと、今月末には100万枚を突破するのではないかと推測しております。そこで、100万枚を突破するに当たり、バス事業者と我々などで構成しているSAPICAの運営主体の札幌ICカード協議会として、今月の27日から29日までの3日間の予定でSAPICA100万枚突破記念ありがとうキャンペーンといったものを実施する予定でございます。このキャンペーンは、SAPICAをご利用いただいている方へ感謝の気持ちを伝えるとともに、これからのさらなる利用の促進につなげることを目的として実施するものであります。地下街のオーロラタウンのオーロラプラザにおきまして、SAPICAをお持ちの方を対象とした抽せん会を実施し、当選された方にはお楽しみ袋などを贈呈することで、SAPICAへの愛着を深めてもらうとともに、公共交通のさらなる利用を促していきたいと考えております。
また、この機会を生かして、オートチャージや電子マネーなどのSAPICAの便利な機能について改めて周知を図ってまいりたい、そのように考えております。
◆中村たけし 委員 SAPICAが100万枚を超えて多くの人が持つということですから、このキャンペーンを通してさらに普及を広めていただきたい。せっかく便利な機能を持っているのですから、使う人自体が多くなる中で、使い方自体ももっと周知してそういったことをしっかり伝えていただきたいと思います。
SAPICAについては以上で終わりまして、次は、地下鉄駅の施設整備についてです。
地下鉄駅の施設については、建設当初は、バリアフリーの観点ではなくて、専ら効率的な旅客の移動が主眼に整備を進められたと思っています。平成12年、2000年11月に、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法が施行されました。この法律の施行に伴い、平成23年度までに全ての駅にエレベーターが設置されまして、移動円滑化経路と言われる駅ホームから地上まで一つ以上のエレベーターでのルートが確保されました。札幌市はこれから
少子高齢化が急速に進行するということは周知のとおりですが、そのような状況を踏まえますと、バリアフリーの観点を一歩進めて、障がいをお持ちの方、お年寄りやベビーカーを使用する子育て世代を初め、全ての人が安心して利用することができるユニバーサルデザインの観点から駅施設の整備を行っていくことが求められると思います。
そこで、質問ですが、安全で快適な駅施設を整備するに当たりまして、具体的にどのようなことに取り組んでいるのか、伺います。
◎田畑 高速電車部長 安全で快適な駅施設の整備に当たっての
取り組み状況ということでお答えさせていただきたいと思います。
まず、安全対策といたしましては、ホームと列車のすき間が15センチメートル以上あるすき間対策用のくし歯ゴムを全部で122カ所に設置するほか、駅階段部でのスリップ防止対策といたしまして、全駅の階段にノンスリップゴムの設置を進めております。また、ホームコンコースで柱と床が同系色の場合、視覚に障がいをお持ちのお客様は柱の認識が困難であるというお声もいただいておりますので、柱に色のついた硬化ビニールを巻きつけて床とのコントラストを持たせる整備についても年度内に完成させたいと考えております。さらに、快適な駅施設の整備といたしまして、駅に設置している樹脂製のいわゆるFRPトイレの経年劣化が進み、においや汚れが落ちにくいということがありました。これは、平成21年度から計画的に改修しておりますが、平成29年度までに陶器製の便器に全面改修するとともに、トイレ内の照明もLED化を図って環境に配慮した整備を進めてまいります。また、平成30年度までには、全ての駅の洋式トイレに温水洗浄便座を設置する計画でございます。
◆中村たけし 委員 ユニバーサルデザインの観点からさまざまな駅の整備が進んでいます。すき間が15センチメートルもあったら本当に危ないですし、階段のノンスリップも大事です。また、柱と床の色というのは、弱視の方や色盲の方に対する配慮として大切な視点だと思います。誰もが利用する駅ですから、ユニバーサルデザインの観点でこういった施設整備にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
このような駅施設のハード面での整備は非常に大事な部分で今後さらに進めてほしいと思いますが、さらに、駅利用者の気持ちに沿ったソフト的な
取り組みも必要だと思います。その点では、昨年、保健福祉局と交通局が連携して、ホームから上る階段にカロリー表示を行ったのは非常におもしろい
取り組み事例だと思います。このようなソフト的な
取り組みは、移動手段としての地下鉄駅であるのみならず、健康管理などの意識を向上させて健康増進にも寄与するし、また、親しみのある駅環境を提供することになるというふうに感じます。
そこで、質問ですけれども、駅利用者に向けたソフト的な
取り組みについて、他にどのような
取り組みが行われているのか、どう展開していくのか、伺います。
◎田畑 高速電車部長 駅利用者に向けたソフト的な
取り組みについてでございます。
まず、一つといたしましては、今、委員からお話がありましたように、階段を上った段数に応じた消費カロリーや、階段利用を促す言葉を載せたカロリー表示のステッカーを一部の駅に掲出しております。これは、お客様からもなかなか好評を博しておりますので、今年度末までに全駅に掲出、展開していきたいと考えております。
また、地下鉄駅などで不案内のお客様がいたときに、誰もが気軽に声をかけ合うことで安心してご利用いただける思いやりあふれる温かい地下鉄を目指して、お客様の多い時期の昨年12月に、困っている人ゼロ運動というネーミングをつけ、重点的な
取り組みを実施いたしました。これは、期間中、駅職員がよりよいお客様サービスを心がけて業務を行うことはもとより、本局に勤務する職員も積極的にお客様に声がけを行いましたが、その結果、改めて困った人への手助けの必要性を感じた職員が多く出るなど、職員の意識変化も見られましたので、今後も継続的に展開していきたいと考えております。
また、昨年7月に豊平川の河川敷で行われた花火大会時期に照準を合わせまして、浴衣を着て駅をご利用されるお客様を対象に、大通駅構内に無料で浴衣の着崩れを直すコーナーを設置いたしまして、100人以上の方にご利用いただきました。さらに、その後、お正月期間には神宮に近い円山公園駅で、雪まつり期間中はつどーむ会場に近い栄町駅で、来られたお客様に和の文化に触れて楽しんでいただきたいということで、駅舎内を利用してそういう催しも行いました。これらにつきましても、今後も継続して展開していきたいというふうに考えております。
◆中村たけし 委員 こうしたソフト的な
取り組みがあると、市民の皆さんにも地下鉄の利用が親しみやすいものになってくると思います。SAPICAのところでもお話をしましたが、困っている方が困らないように、駅員の皆さん、また、駅員の皆さんのみならず私たち市民も、皆さんでわからない方がいたら教えてあげるという支え合いの気持ちで困っている方をなくしていくようにしていきたいなと私は思います。こういったソフト的なところにも力を入れて、ますます地下鉄の利用者をふやしていくような
取り組みを進めていただきたいと思います。
◆芦原進 委員 私は、地下鉄等における広告及び空きスペース有効活用の今後の展開について質問します。
質疑に入る前に、先ほど阿知良委員からお話がありましたが、私も、3期12年、議員の皆様方、理事者の皆様に大変お世話になりました。深く感謝を申し上げたいと思います。
最後の質問となりますが、3期12年を凝縮して、理事者の皆様からは後世に残るような答弁がいただけるものと確信してしっかり質問させていただきたいと思います。
私は、高速電車事業会計予算中、営業収益の中の運輸雑収入に着目しました。ここに実施計画書がありますが、営業収益の中で運輸収益が382億8,000万円、ところが、運輸雑収益が32億9,800万円、約33億円という1割に近い雑収益を予定されています。何か物をつくって収益を上げるのではなく、あるスペースを使ってこの収益を上げる、非常に効率のよい、そして、また、33億円というすばらしい予算を立てているというのは企業会計を進める上で大変大切なものだ、私はそういう観点から質問させていただきます。
この中で、広告料収入と土地物件賃貸料収入というのがあります。これは、収益額が大きいことから私は乗車料収益に次ぐ第2の乗車料収益と呼びますが、経営上、重要な財源となっておりますので、まず最初に、広告料収入についてお伺いしたいと思います。
平成27年度予算では17億円の収入を見込んでおられます。この収入は、地下鉄車内や駅構内の壁などに張られている広告による収入でございますが、あのリーマンショックがありまして、これは別に交通局だけではなく日本全体が大変な経済不況に陥りましたけれども、その影響も受けて大分減収になったということも過去に伺っております。
そこで、2点質問したいと思います。
1点目の質問は、ここ数年の広告料収入はどのように推移してきているのか、また、リーマンショックの影響から抜け出したのか、抜け出していないのか、その辺もお聞きしたいと思います。
さらに、最近、大通交流拠点は大変にぎわっております。駅の通路というのは人が通るだけかと思ったら、最近は全く様相が違ってきて、そこで休憩し、憩い、また意見交換し、楽しい広場になっております。私が議員になったときはそのような状況はなかったし、想像もしませんでした。しかし、想像できないようなものができ上がったということで、私は大変すばらしいことだと思います。
そういう中で、昨年12月に元気ショップが大通交流拠点に移転しましたね。売り上げも従来より伸びていると聞いております。また、2月には観光文化情報ステーションが新装移転して、座って休める休憩スペースも開放され、さらににぎわいが生まれました。そうなりますと、人が集まるから広告価値も高まってくるのではないかと思います。大きな大きなビジネスチャンス、こう捉えるべきではないかと私は思います。
そこで、2点目の質問ですが、広告料収入をふやすために大通交流拠点における事業展開も視野に入れて増収に努めていくべきではないかと考えますけれども、交通局では今後の展開についてどのように考えているか、お伺いしたいと思います。
◎中田 事業管理部長 まず、高速電車事業会計におきます広告料収入の推移でございますが、過去10年間で見ますと、平成20年度までは安定して21億円台から22億円台で推移しておりました。しかしながら、平成20年に起こりましたリーマンショックによりまして、平成21年度決算では平成20年度と比較して約5億円ものマイナスとなり、約16億3,000万円まで落ち込み、平成25年度決算では約14億円ということでございます。
ちなみに、平成26年度、今年度は25年度よりは多くなることが見込まれております。例えばパンフレット広告の設置駅を拡大したり、いろいろな
取り組みをした成果が少しずつあらわれてきているようで、15億円ぐらいにはなろうかなと思っておりまして、さらに、27年度では17億円という予算を立てているところでございます。
そういった意味で、リーマンショックにより平成21年度でどんと5億円落ちたものの、26年度に下げどまって少しずつ上向き基調に入りかけてはおりますけれども、リーマンショック以前まで戻ったかと言われると、まだそこまで戻ってはいない、そのような状況でございます。
それから、今後の広告の事業展開についてでございます。